玉砕覚悟の菅直人総理に日本を任せられるのか

おとなしくしてるのが日本のため
 年末の臨時国会終了から菅直人総理が妙にハイだ。一節には小沢外しで支持率が向上すると東大の教授に吹き込まれて一生懸命小沢外しをしているらしい。
 その返す刀で税制と福祉の均衡に政治生命を賭けるとまで言い放った。しかも、与謝野馨氏を経済財政担当相に抜擢し本気度を見せつける。総理大臣がハイになるのは好ましいが、この総理大臣は日本の農業を再構築する前にTPPを持ち込んだり、国家財政の無駄使いを整理する前に消費税増税を目指したり、議論を重ねる前に結論ありきの玉砕覚悟の八方破れの開き直りにしか見えない。
 じっくり議論を重ね、発生するメリット・デメリットを予測し、デメリットにはセーフティネットを構築して未然に防ぎ、そして政策が実行される。このプロセスを踏もうとしない。実現へのアクションプランも無く、野党から突っ込まれる以前に民主党内からも実現する気があるのかと突っ込まれている。
 3月のねじれ国会による法案不成立と4月の統一地方選挙における惨敗は今のままだと確実だ。特に3月の予算関連法案不成立では菅直人総理には2つの選択肢しか無い。内閣総辞職か衆議院解散だ。
 これに対して「6月には基本路線に目処を付ける」などと言っているのだから、玉砕覚悟の政策暴走に国民が付き合わされるのは避けられない。
 小沢一郎氏に向かって言った「少し静かにしてるのが日本のため」がブーメランとなって菅直人総理自身に向かってくるのを感じないのだろうか。

外交戦略は前原氏に丸投げ
 もともと外交には弱いと言われていた菅直人総理だが、アジアの中での日本の有るべき姿、対アメリカに加えて対中国にも明確な外交方針が必要だが、そのあたりは政策課題と認識していない。その場を取り繕う外交を前原外務大臣に丸投げした状況だ。尖閣諸島での中国漁船の逮捕についても撮影されたビデオが非公開になった理由を説明していない。
 マニフェストで確約した政策の多くが財源の捻出が出来ずに不当たり手形になっている状況で、消費税増税による税収増加、それに伴う福祉関連予算の充実は一見合理的に聞こえるが、前述の外交による日本産業の輸出規模の拡大が無ければ、本当の意味での安心できる福祉社会は形成できない。
 菅直人氏の消費税と福祉のリンケージは国内で食い合うだけで、タコが自分の足を食っているのと同じだ。その間に中国が国力を増強して日本はアジアで生き残れない。また、アジア各国から期待されている中国共産党による人権弾圧を解消させる外交も担えない。
 そもそも弱体とは言え、自民党の歴代政権でも実現出来なかった消費税の増税を菅直人総理大臣の力量で実現できるとは思えない。まして、与謝野馨氏が居れば実現できるものでも無いだろう。逆に言えば、歴代自民党内閣が何故実現できなかったかあたりから検討し戦略を練る事案だろう。それを花火を打ち上げれば実現するって脳天気な発想は何処から来るのか。
 妙にハイになっているのは最後は玉砕を覚悟した所以ではないのだろうか。

衆議院の解散は支持率回復を待って
 先に書いたように2011年の3月から4月にかけて政局になるのは必須だ。しかし、選挙で勝てると確信が無ければ菅直人総理は衆議院を解散しないだろう。これは先人の例がある。麻生太郎総理は解散内閣と思って就任したが、支持率が下がる一方でついに自然任期満了直前まで解散を引き延ばし、その間に重大が政策課題は全て先送りした。
 菅直人総理のようにTPPの実現、消費税増税などと「ほら吹き」の間は良いがTPPは国際公約になる。総理がバカだったんで無かったことにしてくださいと後から言える筋のものでは無い。
 ねじれ国会の解消には参議院の任期である6年かかる。その間、今のままの政治体制では政治の空白が続くだろう。その中で2011年度の予算関連法案も通らない恐れがあるのにも係わらずTPPや消費税増税の法案が通ると考える政治音痴は何処から来るのか。
 これらを実現するにはまず大連立しか無い。まさに大政翼賛会だ。そのためには3月の予算関連法案の成立と引き替えに谷垣氏を総理大臣にする大連立を組むしか無い。内閣総辞職だ。菅直人総理大臣は出たとこ勝負の逐次対応型で大局観を持たない思考回路なので、特に何も考えていないのかもしれないが。
 大局観を持たない玉砕戦法で政治を行われたら、国民は最大不幸を被ることになる。

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2011.01.18 Mint