四面楚歌の菅直人総理の次の一手は

正直言って「内閣総辞職」が答えだ
 ここまで政治音痴が率いる政府の対応は浮き世離れしているものなのか。党内の権力闘争に明け暮れて日本国をどうしたいのかを考える力も時間も無い。国民不在の民主党の国盗りゲームに国民はあきれかえっているのだが、それすら気がつかない。
 天下取りで言えば城はすでに包囲され、外堀は埋められて、一部の家臣が包囲した敵を内堀に誘導してるような状況で、未だに「逆転はあり」と話す神経は尋常では無い。鳩山由紀夫前総理のように苦し紛れの「腹案がある」と大して変わらない。「6月には税と福祉の一体化の方針を出す」って発言は6月までもたない菅直人内閣の現状を「見えない、聞こえない」と無視して現実を直視すること無く放った暴言にしか聞こえない。とても次の一手とは呼べない。
 政治の流れは一寸先は闇と言われるが、これは悪い方向に進む場合に使う言葉で、今の菅直人内閣は既に闇の中に入っており「い一寸先は光明」って例え話は政治の世界には無い。確実に闇の中の、それもより闇の深い所に向かっている。
 この事態を招いたのは民主党のバツイチ軍団だ。一度代表を務めたけれど一般常識では考えられない失態を演じ失脚した面々、菅直人氏、岡田克也氏、前原誠司氏のトロイカだ。ま、岡田克也氏は外的要因も大きいが。その面々が何故民主党の代表を降りざるを得なかったかの学習機能がまるで働いていないのには「この道は何時か来た道」とデジャブに陥ってしまう。
 政治の世界は積み上げる世界だ。水前寺清子の三百六十五歩のマーチじゃないが「三歩進んで二歩下がる」の方式で積み上げていく。国民にとって良い法案でも悪い法案でも説明と説得を繰り返して前に進めていくのが政治の手法だ。
 しかし、作るよりも壊す側の野党経験が長い(もしくは、それしか無い)本性が出てしまう。何が何でも俺の言うことを聞けである。実はこれは古い自民党に端を発する政治手法なのだが、戦後の経済成長とともに自民党でも影を潜めたのだ。

自民党も権力闘争の後完成に近づいた
 民主党を離れるが、戦後の自民党は権力闘争の固まりであった。鳩山一郎一派が吉田茂一派と繰り広げた権力闘争が戦後の日本の政治を混乱させ、これが落ち着きを取り戻すには佐藤栄作総理の時代まで時間を要した。
 その一翼を担ったのが安岡正篤氏である。戦後初期における自民党のフィクサーであり陽明学者であった彼は陽明学本来の「心学」を「帝王学」にしてしまったとの批判もあるが、初期の自民党の政治手法の後ろ盾と言える。
 言うことを聞かない田中真紀子外相に少しは本を読んで勉強しろと小泉純一郎が勧めたのが佐藤一斉作の「重職心得箇条」であるが、これを陽明学の立場から広めたのが安岡正篤氏である。改めて小泉純一郎氏の深慮遠謀の源泉を知ることが出来る。
 話が逸れすぎた。
 民主党が権力闘争から脱して安定政権になるまで20年も待ってられない。少なくともマニフェスト原理主義から「三歩進んで二歩下がる」政治手法になってもらわなくては民主党ばかりでは無くこの日本国がもたない。
 最近はTPPも旬を過ぎたのかあまり首相の口から出てこないが、基本的に2国間のFTAで十分なのだが、ま「学ぶにつけ解ってきた」と後から言い出すのだろうか。
結局、今の民主党のていたらくの原因はバツイチ・ブラザーズのマッチポンプだ。前述の3名に加えて鳩山由紀夫氏も小沢一郎氏もこのバツイチ・ブラザーズのメンバーだ。影に羽田孜氏なんかも居る。江田五月氏なんかもメンバー入り出来るかもしれない有資格者だ。
 これらのバツイチ・ブラザーズは政治の適正が無い。全て権力闘争主体の政局屋である。しかもバツイチ・ブラザーズは「天下晴れての一発屋」ではなく、ねちっこく政治の世界を渡り続ける。しかも学習能力に乏しいので何時も新たに階段を登り始めても同じ段で階段を踏み外す。

権力闘争の土俵を脱する交代劇を
 どう考えても衆議院で2/3近い議席を持っている政党が国民の支持率の低いまま衆議院を解散する訳が無い。もっとも、菅直人総理大臣の自爆テロ解散の可能性はゼロでは無いが。
 内閣の総辞職のカードを一番有効なタイミングで使って、内閣の総入替えを行うのが既定路線だろう。次の一手はタイミング的に4月1日のエイプリール総辞職が良い。統一地方選になだれ込む前に、新しい総理大臣と新しい内閣が発足している必要がある。
 地方選で負ければまた改革は尻つぼみになる。何故なら民主党の政策の中で地域主権と大きな政府は真っ向から真逆な課題で、マニフェストに盛り込まれた方向に進むためにはマニフェストに無い「大きな政府」の方向の芽を早急につみ取る必要がある。そのためには地方議会で受け皿としての地域主権が促進されなければならない。
 次の民主党代表に岡田克也氏や前原誠司氏の名前が上がっているがバツイチ・ブラザーズは民主党のために静かにしているべきだ。グループでお遍路回りでもしていたら良い。安倍晋三氏や福田赳夫氏、麻生太郎氏も誘ったら良い。
 バツイチ・ブラザーズ以外から次の代表を選ぶ必要がある。バツイチ・ブラザーズから選ぶと権力闘争の繰り返しの無限ループに陥る。
 たぶん、細野豪志氏と原口一博氏の戦いになるだろう泡沫候補で枝野幸男氏もku加わるかもしれないが。ただし、バツイチ・ブラザーズから岡田克也氏、前原誠司氏が出た場合でも原口一博氏は出るだろう。そして、国会議員票で大差を付けて原口一博氏が代表に当選する。
 これが民主党にとって唯一の良いシナリオだ。そのために、菅直人総理は総辞職しか無い次の一手を使うタイミングを計るべきだ。

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2011.02.23 Mint