自民党の民主党への攻撃は巧妙でエゲツナイ

必殺仕事人を見ているよう
 今回の前原誠司外務大臣への攻撃は複数のネタを仕込んだ波状攻撃であった。その中で一番前原誠司氏がダメージが少ないと判断される在日外国人からの献金を辞職の原因として前原誠司氏は逃げ去った。ある意味、前原誠司氏にとってはポスト菅も視野に入れた最善の選択だったかもしれない。
 一方、自民党は次のターゲットに照準を変えて同じような波状攻撃を仕掛けるつもりらしい。必殺仕事人と言うか野党のウップン晴らしと言うか。エゲツナイことを平気でやれる神経に野党らしさがかいま見られる。
 国会論争の中で前原誠司氏に仕掛けられた波状攻撃で再度の答弁の機会が無く、事実が明らかになっていない事が多く残された。その中でも野党議員時代の2回の北朝鮮訪問の経緯は闇の中だ。2度目は国会開催中に1週間も国会を抜け出して北朝鮮を訪問している。よど号ハイジャック事件の実行犯4名と会談したり記念写真を撮ったりもした。2度目の北朝鮮訪問では通訳の女性との親密な関係が指摘されている。この2人の写真は北朝鮮がわざと流出させ日本の公安が入手してると言う。
 脱税事件で有罪になったグループ会社へパーティ券を引き取ってもらった事件もある。このグループ会社は野田佳彦財務相、蓮舫行政刷新担当相にも政治資金を提供している。
 もはや民主党はバツイチブラザーズに期待できないと「四面楚歌の菅直人総理の次の一手は」で書いたが、逆に自民党の攻撃対象はこのバツイチブラザーズで、最後の本丸が菅直人総理ってシナリオだろう。次は誰か、岡田克也幹事長を攻略するのは至難の業だろうから、一旦は他のターゲットに攻撃の矛先が向かうのかも知れない。

野党発言と与党発言の真逆
 先に答を書いておくが、政治活動を確固とした国家間に基づき行っていると野党に居ても与党に居てもそう真逆な発言にはならない。また、キャッチコピーのような発言は自然と慎まれるものだ。「未納三兄弟」とか「平成の脱税王」、事業仕分けを「中国の文化大革命の際の紅衛兵」などとは品格が無いので言わないものだ。せいぜい野次に使う程度で文字に残るような場では使わない。今回、自民党がエゲツナと思うのは、そんな民主党の議員達に野党時代の軽率な発言を捕らえて国会で追い込もうとしていること。未来志向では無く、重箱の隅を突いているのは自民党も百も承知、だからエゲツナイ。
 「国旗・国家法案に反対票を投じたのは何故だ」(菅直人総理への質問)、「拉致問題よりも国交正常化を先に」(前原誠司外務大臣への質問)とかは野党だったんだからしょうがないって面があるのだから、国民には自民党が正しい事を言っているとは受け止められない。逆に「おお、自民党は社会党的な野党になるんだ」と思われている。
 過去、民主党は国債発行を30兆円以内に押える法案を国会へ提出しようとしていた。当時の小泉純一郎総理もその案を呑む直前まで行った。結局、法案は成立しなかったが、年度末を控えて追加国債を発行することで乗り切った小泉純一郎首相は運があったと言わざるを得ない。
 いざ政権に付いたら野党時代のように行かないものだと感じているのなら、まず、マニフェストの何が出来て何が出来ないのか。その出来ない所を「わたしく、ウソをついておりました」と国民に謝罪する。そこが予算のスタートラインではないのか。

物騒な自民党は「一人一殺」なんて言葉も
 予算審議が参議院に主戦場を移したが、実は自民党の議員のレベルで言えば参議院のよほうが老練な手強い勢力が多い。衆議院は先の政権交代で若手がバタバタと落選したが参議院は逆に民主党がバタバタと落選した。
 一時期社会党の楢崎弥之助氏のコピーだった「爆弾男」も自民党参議院の西田昌司氏の冠になっている。西田昌司氏は税理士出身で政治資金報告書を読む天才と言われている。鳩山由紀夫総理の収支報告書を見て「子ども手当がある」と読み抜いたのも彼である。
 政治資金報告書には辻褄合わせのゴマカシがある。なんせ、領収書がもらえない活動も多々ある。それをつじつまを合わせるのだから何処かでボロが出る。野党としては入手も容易で矛盾点を掘り起こせる宝の山みたいものだ。今後も「政治とカネ」でクリーンさを標榜したい民主党にダメージを与えていくだろう。
 次のターゲットはたぶん、野田佳彦財務相、蓮舫行政刷新担当相あたりだろうか。枝野幸男氏やその後ろ盾の藤井裕久氏あたりも危険かも知れない。
 健全な政治は与野党で競争が行われること。誹謗中傷合戦に近いが、少しづつ自民党も野党根性を見せてきたということか。

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2011.02.23 Mint