戦前に前例が多々ある
戦前の日本陸軍は大臣現役制をとっていた。組閣の大命が下された時に陸軍が内閣の方針が気に入らない時には陸軍大臣の入閣を拒否する。結果として組閣が成り立たず組閣出来ないまま内閣は成立しなくなる。
実は後日談があって、小泉純一郎総理大臣の時代にそれまで経世会は総理大臣を出さなくても大臣を複数出すことで内閣をコントロールしてきたが、それが出来なくなる。橋本龍太郎総理の時代に省庁再編成で大臣の数を半分近くに減らしてしまった。弱小派閥の小泉派では少ない大臣なら自前でまかなって組閣出来たのだ。
橋本派が大臣を出さないことで組閣を妨害することが出来なくなったのは皮肉にも橋本龍太郎氏自身が行った省庁再編成による大臣の数減らしの結果だったのだ。
さて、現在に戻ると亀井静香氏のアドバイスで内閣改造を行おうとした菅直人総理大臣は万が一の大臣就任拒否のレジスタンスを恐れて小幅改革に留めた。そして混乱を煽るように自民党から政務官を迎えた。亀井静香氏には副大臣のポストを用意した。実際に亀井氏は固辞して副大臣は受けなかったが。
組閣が出来なければ総理大臣は務まらないのは国民感情からも明らかだ。
組閣出来ない総理大臣は辞めるしかない。ここに追い込むのが総理大臣を辞めさせる手法だ。三宅先生の言うように法的総理大臣を辞めさせることは出来ないが、法律によらなくても総理大臣を辞めさせる手法はある。
全員辞表を書いて「そしてだれも居なくなった」
議員内閣制には多々欠点があるが、大統領制のように国民が直接総理大臣を選べない事が大きい。国会議員が総理大臣を選ぶ制度になっている。実施には憲法にも規定されていない「政党」が総理大臣を選ぶことになるのだが、この責任政党は民主党だ。
民主党には菅直人総理大臣を辞めさせる責任がある。自分たちで担いだ代表を引きづりおろすのは無責任と言う評論家も居るが土井たか子氏では無いが「駄目なものは駄目!」なのだ。政治は結果責任で結果を出せないのなら代えるしか無い。
今回の自民党を離党させてまで入閣には安住淳国会対策委員長が過激に反対しているが、であれば辞表を提出して怒りを表現すれば良い。そもそも、沈没直前の泥船であっても入閣したいなんて政治家はすべからく次の選挙で落選だろう。なり手が居なかったら内閣は自壊する。
それが出来ないなら民主党は政治責任を果たせないので党全体が自壊する。
どちらにしても国民は、特に今回の東日本大震災で被害を被った被災地の人々は不幸だ。たまたま罹災した時の総理大臣が菅直人総理だったと言うだけで最大不幸を招いてしまう。
3法案を全力で成立させて菅直人総理大臣に退場して貰うなんてストーリーは描かないことだ。その時にはまた「ペテン師」の技に唖然とするだけだ。
今すぐにでも行えるのが「そして誰も居なくなった作戦」だ。
鳩山由紀夫氏が「月末辞任と欺された」って言っているが政治の世界は欺し合い。欺した方よりも欺された方が悪い。このままで3法案成立を行っても「ペテン師」はそれに輪をかけて居座るのは明らかだ。
2011年7月7日の参議院予算委員会で 産経ニュ−スより(酒巻俊介撮影)