「どじょうの川流れ」いっそ下流で再編成

本当は河童なのだがどじょうも流される
 一般的に行動力は何かを実現したい信念に立脚するのだが、今回のTPP参加問題をみるにつけ、野田佳彦総理大臣は何も実現したいと思っていないようだ。もっと言えば「しょせん自分が総理大臣なのは来年の9月までだろうから、何をしても意味がない」と覇気のない諦観を決め込んでいるように見える。それくらい、行動力が無く信念が見えてこない総理大臣だ。
 のらりくらりの宇宙人、言いっぱなしのイラ菅と来て「どじょうの川流れ」では日本の行く末が見えない。政治家の政策が「アメリカ追従」が柱ならば日本の国会はアメリカの州議会規模で十分だ。そもそも、いくら数が居ても政治力、特に外交力に疎いのでは選択肢は「アメリカ追従」しか無いのかもしれないが。
 ここに民主党の行き詰まりがある。政権与党としての経験の無さに加えて、本来与党が持たなければならない国政への責任が民主党に無い。3度目の正直と登場した「どじょう内閣」の野田佳彦総理大臣だが、もはや民主党には政権与党を演じ切れる役者は居ないって証左になってしまった。
 ま、二度あることは三度あるって言葉もあるが、このままの民主党では同じ事を何回も繰り返すだろう。それが国民が政権交代以降、稚拙な民主党政権に対して耐えに耐えた結果に得たものだ。
 財務官僚の増税路線の線路に載って国政の最大の課題は財政と思いこんでいるようだが、それを進める政策に弱く逆に政治の場では民主党内部すらまとめ上げることが出来ずに流される。まさに足をすくわれて「どうじょうの川流れ」状態だ。もっとも、どじょうには足は無いが。
 日本国をどのようにしたいか、それを方針として掲げ、個別の戦略を組み立てて法案に反映させる。そんなプロセスすら野田佳彦総理大臣には解らないらしい。

2大政党に成り得ない民主党と自民党
 最高裁から是正勧告を受けて選挙制度改革が喫緊の課題だ。現在の選挙制度は小沢一郎氏の2大政党制への深慮遠謀から進められたもので小選挙区制を基礎に1選挙区からは一人の当選を基本にしている。比例区が残っているのは土壇場で党内の反対に抗し得なかった海部首相が付け焼き刃で180議席を加えたもので、暫定措置の駆け込みであった。
 だから、早急に比例区180議席は切り捨てるべきが今でも続いている。
 また、最高裁は「各都道府県とりあえず1名」が一票の格差を助長していると指示しているので、この部分に踏み込んだ改革も求められている。
 とりあえず、過去の亡霊である180議席は切り捨てるべきだろう。
 加えてみんなの党の「都道府県対抗比例代表制」は良く練られている。
 1)選挙区は都道府県単位。但し、広域な北海道や人口集中度の高い東京都は複数に分割。
 2)選挙前に政党は順位の無い候補者名簿を提出。
 3)投票は政党名もしくは候補者名簿の個人名で投票。
 4)投票集計は全国合計で行い、各政党の議員数を決定する。
 5)各政党は都道府県別に得票が多い都道府県に当選者を配分。
の方式だ。これだと選挙地域が全国区だと選挙に金がかかるのを防げるし、少数意見も全国的に反映される。ただ、2大政党制には結びつかない。ま、みんなの党に有利なのかもしれないが。
 日本における2大政党は無理であったと早急に結論を出すつもりは無いが、少なくとも2大政党制を目指して弱小野党を駆逐して野党勢力を1党に絞り込み、与党に対峙する野党から、与党を凌駕する野党にまで進化させて政権交代を行うってのは成功した。
 しかしその手法の中心を占めたのは「数の論理」でしかなかった。1党に絞り込まれたはずが政策での一致点が無いので烏合の衆であった。だから、何をやってもゴタゴタする。
 政策で集まった集団で無い民主党の現状では日本に2大政党制度は根付かないのは明らかだ。

「どじょうの川流れ」で政界再編
 民主党や自民党は群雄割拠の戦国時代のような多政党政治になるのを手をこまねいて待つのだろうか。どうもあやふやな「政党」って枠が政治改革を阻害しているようだ。政党助成金にしか法律的根拠を持たない「政党」だが、金の切れ目が縁の切れ目の例えのように政治資金を失うことをためらって、政党に就職しているサラリーマン政治家は結構多いのだ。その数180名かどうか知らないが、衆議院議員定数を300議席にして、現行の「グリコのおまけ」みたいな180議席は切ってしまって良いだろう。
 で、強力な政治資金規正法を政治改革の御旗に集う議員と現行の守旧派との2大政党に政界を再編して2013年の衆議院、参議院同日選挙を行うべきだろう。
 逆算すると2013年に向けての胎動は遅いくらいだ。選挙制度を改革して2大政党に向けた選挙制度をご破算にするのか、新たな群雄割拠政治にするのか。この一点でも国民は守旧派と改革派の違いがわかる。
 自民党と民主党は2大政党では無い。その大きな理由は政策が「かぶる」議員がかなりの数を占めるからだ。自民党の保守派と民主党の保守派はほとんど同じだ。両方を合わせると民主党と自民党の議員数の2/3くらい行ってしまうのではないか。
 しかも高齢議員集団になるだろう。一方、自民党の改革派と民主党の中道派もこれまたリベラル派で発想が近い。こちらは若手中心になるだろう。
 おかしなことに、民主党の1年生議員ってのは自民党からの政権交代を至上命題にしたために政策的には大改革派ではなくて自民党的な議員が多い。急激な革命的政権交代ではなく、ま、民主にもやらせてみるかの票を選挙で集めるために自民党的なほうが有利だった。
 その親分の小沢一郎氏が自民党の古い体質を嫌って飛び出したのだが、今の自民党は長老が古い体質のまま居座っているので政権再編で合流の方針が打ち出せないでいる。
 このあたりは新党「魁」が「排除の論理」を使った頃の政治情勢と似ている。
 どちらにしても2013年には衆議院も参議院も選挙を迎える。それまで野田佳彦総理が居座るとも思えないが、ここは一気に「どじょうの川流れ」で下流のダムで再編成するシナリオを考えておくべきだろう。
 TPPで起きた亀裂は腰砕けの元農水大臣よりも、小沢一郎氏の元で拡大し続けている。小沢一郎氏も反TPPの御旗で新しい政治勢力を作れないか模索している。そもそも政党助成金は1月1日現在の政党が対象になる。50人で新政党を作れば政党助成金でかなりのことが出来るはず。少なくとも「今選挙をやれば民主党は50人しか国会へ戻ってこれない」と言った小沢氏だから、何を仕掛けてくるか動向に着目される。

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