赤字国債で消費税を代替していた国策を知らない民主党

諸外国の消費税率と比べる意味が無い
 野田佳彦総理大臣は消費税増税に「不退転でのぞむ」らしいが、その意志決定のプロセスを国民に説明出来てない。そもそも説明出来る論理が野田佳彦総理大臣の中に無いのが実情なのだろうが、これは不勉強以外の何物でも無い。自分で考える努力を放棄して他人の(官僚の)意見を鵜呑みにしている状態の野田佳彦総理大臣は2chを見て政策を立案しているようなものだ。
 自分で考えて、自分の言葉で説明する。この能力が決定的に無い。だから一国の総理大臣としての品格を感じないのだ。日本における消費税って制度はどのような歴史的背景に沿ったものか。そして、財政を考える時に日本の税制はどのようにあるべきか。そのような事を考えたこともないのだろう。だから、他人の意見を鵜呑みにする。
 「先生が言っていたもん」みたいな政策決定では説得力を持たないことを承知しているが、他に政策決定プロセスに説得力ある説明方法が無いのだから、黙り込むしか無い。自分の意見を持たない、そして決定プロセスに自分の意志を持たないリーダが往々にして陥る現象を野田佳彦総理大臣は典型的事例として踏襲している。
 昨今の企業コンサルタントが楽だと思うのは「菅直人総理の何処に問題があったか」、「野田佳彦総理大臣の何処に問題があったのか」と失敗事例の引用に事欠かないことだろう。実際には本物のコンサルタントなら「本来有るべき姿」をまず提示出来なくてはいけないのだが、失敗事例のほうが受ける状況になっている。ま、コンサルタントなんてのは社会に巣を張る必要悪な存在なのだが。
 で、そのコンサルタントから派生したのがマスコミが作る政治バラエティ番組での無責任なヒョーロン家が「戦車に乗ってやってくる」。その最たるものが「諸外国と比べて日本の消費税率は低い。本来、国家を運営するには欧米諸国のような二桁の消費税率が当然なんだ」なんて言っている老害の三宅某だったりする。
 番組的に数値(視聴率)を稼げると思われているので、出演依頼が多いようだが、所詮「政治芸人」扱いの番組の「刺身のツマ」なのだが、本人は渡辺恒夫ばりの影響力を発揮してると勘違いしているのだが。ま、三宅某への個人攻撃は別に本位では無いので泳がせておくが。

国は借金しないで運営するのが基本
 東京都の会計基準が複式会計になっているそうだが、国を含めて多くの自治体は単式会計で単年度の終始しか解らない。そのため、議会で優秀な会計士にコンサルをお願いしても本当の財政状況が把握できない。しかも、そのままで良いと続けられている。
 「入るを知って出を計る」が国を含めた自治体の律令制度の運用の基本になっている。借金は財源不足であっても行わない。出を絞って帳尻を合わせるのが基本だ。
 これは日本の律令制度が「米」を中心に運営されてきた名残ではないかと思う。NHKの大河ドラマが平清盛だが、平家が何故滅亡したかと言うと貿易によって日本国中の富を集めた平家は貨幣でしか富を蓄えられなくなり(米だと腐ってしまう)それが日本で初めての貨幣制度の運用であった。本来価値の無い紙切れや貨幣に価値を持たせるには、物価との連動が難しく、超インフレを招いてしまい平家は貨幣で保持した財産の価値を失い滅亡したって説がある。ま、歴史の一断面としておもしろい。
 その後、日本は「米本位制」の経済を続けてきた。そのため「石高」なんて呼び名もある。そして秋に収穫できる米を翌年の秋まで食いつなげば良く、結局、律令の基本は翌年の米の収穫までって単年度会計になったのではないだろうか。
 その「文化」が明治政府にも継承され、単年度単式簿記で会計が行われている。そのためには絶対必要な前提「入るを知って出を計る」が守られなければいけない。ただ、高度経済成長の時代には借金は塩漬けにしておけばインフレで額面が下がり返済は容易になる傾向があった。今のデフレの時代はその逆である。逆平家物語だのだ。

経済政策がまるで無い、増税のみ路線
 とりあえず短期的経済政策としては円安誘導。これに尽きる。長期的には経済の国際競争力を高めることだが、ここまで円高になったら技術競争力でいかに秀でていても円高で価格競争力が削がれるので競争力は付かない。
 税収を上げるには円安誘導により法人所得を増やすことが必要だが、法人税減税なんかを政策にしている。円安誘導すれば法人税収入が30兆円も出てくるのは自民党時代の1ドル110円時代の税収内訳を見れば小学生にでも解る。
 もっとも、今の官僚に国際競争力を高める分野が判断できないだろう。原発技術では日本は世界の3大メーカーだ。しかも、東芝が設計したキャンドル炉はこれからの原子力発電でありトリウム原発は中国が全力投球する原発技術だ。この国際競争に日本も参加しなければいけない。世界のエネルギー需要は益々増大する。石油資源やウラン(既に掘り尽くして価格競争力が無くなっている)をめぐってエネルギー覇権主義で紛争が起こらないためには、人類が手にした核のエネルギー利用は避けて通れない。
 脱原発なんて政策で日本の優位な芽を摘むことは無い。
 政治は国の形を造ることで、その意味では増税なんて政策は国の形を造るには寄与しない。小賢しい役人の帳尻合わせでしか無い。そこにしか目が行かない野田佳彦総理大臣もずいぶんと視野の狭い総理大臣だ。その視野の狭さで新春早々に足下から掬われることになるだろう。

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