国家運営の失敗は自民党と民主党の「共同責任」

国会運営の失敗が顕在化している
 先に書いたように日本の官僚天国は政策面の国家の舵取りにも及んでいる。(日本の官僚支配はギリシャを超え国家存続の危機)
 議院内閣制に問題があるとも書いたが、日本が手本にしているイギリスの議院内閣制では日本で起きているような問題は起きていない。
 一番の違いは三権分立の厳守から行政府と立法府の壁が強固で、相互に依存する体制を阻止してるからだろう。しかし、調べてみると更に画期的な運用がなされている。行政府は与党のお抱え組織では無く、どちらかと言うと野党のお抱え組織なのだ。正確には与野党平等に行政府を使うことができる。与党は議員内閣制の下では行政府をコントロールできるが野党は手も足も出ない。のでは無く、野党が立法に向けて行政府のスタッフを使うための予算が別途「野党手当」として準備されている。
 つまり、与党にのみ立法権があるのでは無く、野党でも立法するための行政機能が使えるのだ。だから、野党だからと「なんでも反対」、「駄目なものは駄目!(c)土井たか子なんてのは通用しない。野党にも国政への責任があることを明確にしている。
 日本の国盗り物語的な政治、そして政権交代は与党になってナンボの世界になる。しかも、経験不足で何をやらせても官僚主導になる。イギリスでは民主主義の下、何時でも政権交代があり、それに備えるのに必要な立法府の活性化が常時計られているのだ。
 議院内閣制はかくあるべきって理念が50年も一党独裁であった日本では育たなかったのだ。
 これが国会運営の最大の失敗だろう。だから「ネジレ国会」だけで政治が政局化してしまう。
 「数の論理」だけが横行する古い政治が定着したのも、本来の議院内閣制のあるべき姿を勉強してこなかった政治家の責任だろう。ネジレ国会と官僚主導に陥ったのは現在の国会運営の構造的問題だ。

国家運営も失敗した
 この当たりになると単純に自民党の責任でも無く、民主党の稚拙さの責任でも無い。大局的に見れば国民の責任である。が、「それをいっちゃぁおしまいだよ」ってことでこの国民の責任は教育の責任に転嫁しておく(いつもの論調と笑うことなかれ)。
 律令国会においては税金の不足は施策の縮小でバランスを取り単年度終始を過不足無く行うのが基本だ。建設国債は日本の復興や経済拡大に必要な社会インフラの整備に必要ではあるが、経済効果が厳しく査定されなくてはいけない。単に支出に見合う収入が無いからと赤字国債を発行するのでは律令国家の国家運営を担う責任の放棄だ。
 赤字国債の発行は直接法律に依存するのだから、その発行責任は立法府の責任となる。「前から積み上がっていたから」との理由は通らない。何故なら、前例主義の打破こそこが国民が政権交代に期待した部分だから。
 日本の国債が信用を失い暴落するって経済評論家の意見は必ずしも的を射たものでは無いが、不安定な金融市場においての「風評被害」で日本の国債は土壇場に立たされている。世界の金融がEU方向を見ているうちは良いが、一段落して日本の国債に焦点が当てられると「風評被害」勃発の危険性はある。ユーロ安が一段落した頃が危ない。
 消費税の増税で対外的にアピールするのが野田佳彦総理大臣の視野狭窄だが、デフレ経済を放置して消費税増税を行ってもその場しのぎになる。既に消費税の検討をしていた時は消費税1%が2.5兆円の税収増加と計算されたが最近の計算では消費税1%は2.1兆円にしか該当しない。デフレ経済下で起こる先延ばしが市場規模縮小によって効果を失う典型だ。
 長期的には緩やかなインフレしか解決策は無い。短期的に見ても日本国債の信用が破綻したら急激なインフレが来るだけで、結局、解決策はインフレしか無い。貨幣で造った借金は貨幣の価値を下げることでしか解決しない。NHKの大河ドラマが今回は平清盛だが、平家滅亡の経済的側面は急激な超インフレだったのだ。
 経済が右肩上がりだった前提で重ねた赤字国債だが、今更増税で返すなんてのは過去の国民のツケを今の国民が払う話で、個人の遺産相続じゃないのだから、国の借金解消には国策ならではの知恵を展開すべきだ。

自民党運営も失敗した
 自民党の谷垣総裁ってのは、何も考えていないのだろう。少なくとも戦略的発想を行えるブレーンには恵まれてないようだ。民主党への対決姿勢が「マニフェスト違反は衆議院解散で償え」って論理だ。国民の誰もが「最初に消費税増税を口にしたお前が言うな!」の感想を抱いている。人の噂も75日とはならないのだ。
 従軍慰安婦問題で韓国や中国に謝罪せよって言ってる輩と大差ない発想しか出来ないのが谷垣総裁だ。
 物事には順序がある。自民党が民主党を横目で睨みながら国民に向けて発するメッセージは以下の順番で行われるべきだ。
 1)消費税増税は自民党のアイデアだ。そこに民主党が勉強してたどり着いたのは歓迎する。
 2)しかし、民主党は政権交代時のマニフェストで消費税の増税は4年間行わないと国民に約束してきた。
 3)我々自民党が考える消費税増税の土俵に一緒に乗るには民主党は事前に解決しなければならない課題が多くある。
  まず、「ばらまき3K」はどうするのか。公務員制度改革による歳出の削減はどのように進めるのか。最高裁から違憲状態と認定された選挙制度は歳出削減と絡めてどのように改革するのか。
 そもそも、膨大な財政赤字を抱えるこの国で、年間20兆円程度の歳出削減を行わないと健全な財政運営に戻らない。消費税増税で全てが解決する訳では無い。与党の国家運営の責任として、このようなハードルを越えてきた時に、初めて我々自民党は同じ土俵に立てると判断する。それが出来ないのなら衆議院を解散して政治を国民の手に戻すべきだ。我々自民党にはハードルを超える政策案がある。先の鳩山由紀夫総理大臣の「私には腹案がある」発言とは違い我々の腹案は実現可能だ。ハードルを越える覚悟が野田総理にあるのなら、即刻実行に移してもらいたい。でなければ大政奉還、政治を国民の手に帰す衆議院の解散を行うべきだ。
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 てな、論理展開で衆議院の解散総選挙を導き出すくらいのアイデアは谷垣総裁および取り巻きに無いのか。

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2012.01.18 Mint