第三極チームA、チームBって政治のAKB化

AKB派生ユニットと第三極は同じ仕組み
 なにやら衆議院選挙に向けて「第三極」がキーワードらしいが、この第三極が選挙に有利かどうかで離合集散するから、その実態は「第三極チームA」とか「第三極チームB」とか民主党と自民党以外は(あ、公明党は実質自民党ユニットってことで)沢山の第三極チームに分類されるらしい。
 総選挙があるところもAKBに似ているし、ジャンケンで候補者を決めるってのもAKBに似ている。
 AKB48内部にも各チームがあるが、派生ユニットとしてもHKT48、SKE48、NMB48、ノースリーブス、フレンチ・キス、渡り廊下走り隊7、Not yet、DiVAと有るわけで、政治の世界が秋元康氏の世界に迎合してしまっている。
 新党日本の田中康夫氏が第三極の動きの本質を上手い表現で表している。
 『今回起きたことは、『エルメスとシャネルが同じ売り場で売ってます』って。これは、アウトレットにしかならない。ましてや、仏のヴィトンと伊のプラダを売っているという話になると、『国籍も違うんじゃないの』というのが国民の思いじゃないか。うちは明確な主張を持ったブティックだから。』
 そもそも「政党」が憲法に明記されている集団では無く、本来の政治主張を同じくする集団との暗黙の了解も選挙制度改革で二大政党制選挙になり、政党に属さなくては選挙戦を戦えない状況が作られた。そこでAKBマガイの政党乱立である。
 政党ってのは憲法で定義されたものでは無く、政治団体の派生したものである。これに国民の税金から政党助成金を出しているのも不思議な制度だが、これら全て(政党助成金、二大政党制選挙)は小沢一郎氏が主導的立場で行った「改革」である。いま、その自らが行った「改革」で苦労しているのが小沢一郎氏本人なのは皮肉な歴史の巡り合わせだ。
 二大政党制選挙で明らかになったことはより強固に地盤(ジバン)・鞄(カバン)・看板(カンバン)が受け継がれるようになったことだ。その最たるものが世襲議員である。
 このまま日本の政治がAKB化して劇場選挙が続くのは政治にとっても不幸だ。しいては国民にとって不幸だ。今回の衆議院選挙は選挙が終わってから語が、理想的な選挙制度を構築しなければ今後もAKB型劇場選挙は続いてしまう。

一票の格差はあって当然
 選挙制度と言うと定数の不均衡から一票の格差が叫ばれるが、これは選挙区を細かく細かくしてきた現在の政治家の地盤・鞄・看板の集約指向が行き着いた結果だ。選挙区で持つ三種の神器は同じ選挙区で行われる衆議院選挙、参議院選挙の国政のみならず、地方の組長選挙、地方議会選挙でも使える。そもそも、夫婦で衆議院議員と参議院議員ってのは世襲議員以前の問題で政治を托す代議員制からは考えられない事態だ。しかし、先の三種の神器を使えば実現可能な今の選挙制度の民主的でない側面の象徴的事象である。
 まず、代議員の機能を定義して、それにふさわしい選挙制度を導く検討が必要だろう。現在の国会議員による選挙制度改革では無く、外部機関で選挙制度を取りまとめ、国民投票の対象として選挙制度改革を進めると良い。
 衆議院選挙制度
 衆議院は二大政党制選挙制度を辞める。この弊害が今の衆議院選挙のAKB化なのだから。ここはいち早く道州制に移行する。北海道ブロック、東北ブロック、中越ブロック、関東ブロック、中部ブロック、近畿ブロック、北陸ブロック、関西ブロック、中国ブロック、四国ブロック、九州沖縄ブロックに分けて、総議席数400議席をブロック構成人口(有権者数では無い)で案分して決める。北海道ブロックで16議席になるがこれは現行20議席から減るが、候補者の上位16名が当選すれば死票はかなり減る。また、広域のため三種の神器は使いがたい。
 市町村選挙は現行のままで良いだろう。逆に議員報酬を半額にして議員定数を倍にするを考える必要があるが、今回は地方選挙には触れないことにする。

全国区は金が掛かるかな?
 参議院の全国区制度は全国を回らなければならず金が掛かりすぎるとのことから、1983年の参議院選挙から全国区は候補者個人名では無く政党への投票になった(比例代表制)。しかし2001年からは非拘束名簿制で全国区制度が復活している。
 選挙区が広いと選挙に金が掛かるって考え方は地盤・鞄・看板の昔の選挙運動の話で、三種の神器を全国に持たなければならない全国区制度が政治家には辛い選挙制度であっても国民にとってはどうかを考えると、実は全国区制度は一番死票の少ない、国民の意思がストレートに反映される選挙制度とも言える。
 現在より選挙区が広くなったら選挙に金がかかるのか?
 これは工夫次第だと思う。アメリカの大統領選挙制度を見ていると選挙資金でテレビ広告枠を買い取ったりとかなり選挙資金を必要とするが、日本では公職選挙法で決められた政見放送がある。また、ICTの発達は20年前には考えられないほど広く普及している。
 なによりも、選挙の三種の神器(地盤・鞄・看板)により既得権益を甘受してきた現在の政治家は国民の代議員たる資質を完備していない。彼らは国民の意見をくみ取って国政を運営する議会制民主主義の改革を怠ってきた。他国に例を見付けるのでは無く、日本が世界をリードする民主主義を支える選挙制度を考えようなんて姿勢が見られない。
 「国政報告会」と称して政治パーティを開いて政治資金を集める。「ニュース見ていたらお前が何もしていないのは明らかなんだよ!」なんて政治家まで「国政報告会」を行う、「おまえは明治時代に生きているのか!!」
 ICTの時代を踏まえて世界に誇れる民主的で合理的で経済的な選挙制度を作るのは国会議員の義務だろう。外部に会議を作って提言の形にまとめて国民投票を行い選挙制度を変える。
 第三極が最優先で国民に訴えるべきは、なまじ既得権益に乏しい故に、選挙制度改革であり公務員制度改革だ。原発の再稼働の問題は市場経済が方向を決めるのであって国会が決める事案では無い。そもそも国策民営の原発にしたのは政治の知恵だろう。政治家が躍起になる必要は無い。官僚に責任取らせれば済む話だ。
 しがらみの無い第三極に期待するのは既得権益の破壊と制度改革だ。劇場選挙では無い。


button  現在の選挙投票方式は憲法違反だ
button  選挙制度改革論議

ツイッターはここ


2012.11.27 Mint