参議院選挙前に原発を再稼働させる政治

参院選挙まで安全運転とのことだが
 安倍晋三総理大臣はネジレ国会解消のためには参議院選挙で勝利することが必須で、そのためには選挙前には対立の激しい政治課題には着手しないと言われている。つまり、政治の先送りが半年続くことになる。
 原発の再稼働についても3年かけて審査して行くと選挙中に述べている。現在、石油や天然ガスによる火力発電の輸入が年間3兆円だから、この3年の間に燃料費として10兆円が国外に流出することになる。単純に消費税1%で2兆円税収が増える(試算)ので消費税5%分が国内でかき集められて海外に出て行くことになる。まして、安倍晋三内閣になってから円高が円安に転じ、アメリカ経済が財政の壁で不安定になり国債金利の上昇が見込まれるので、金利の高いドルに世界の資産は向かい、ますます円安が進むので3年で10兆円はもっと増加する可能性がある。
 日本のエネルギー自給率は4%しか無い。原発の燃料も輸入だが、これを加えると自給率は18%になる当面、原発を稼働させるだけの燃料は確保されている。
 最大の置きみやげの「使用済み核燃料の処理」を技術開発して行くには化石燃料購入に10兆円を使い、海外に流失させるのでは無く、10兆円で技術開発を加速する必要がある。特に有望なのがトリウム原子炉による核種変更である。技術的には50年前に実証実験が終わり、インドでは実験炉が稼働を始めている。
 真の国益のためには、原発再稼働によって電力会社に空白地帯であった使用済み核燃料処理技術開発に導くのが政治の決断だろう。
 原発再稼働を先送りにすることにより、国益が失われ、日本が原子力発電の開始から終了(使用済み核燃料再処理)までの技術を取得するチャンスを逃すことになる。2050年実証実験開始の「もんじゅ」なんかを待っていては何も解決しないのだから。

決められない政治の構造は別な所にある
 物事が決まっていくために必要なプロセスは以下のようになる。

1)知識(判断の基礎)
  ↓
2)見識(判断する決断力)
  ↓
3)責任(判断結果への責任)

 鳩山由紀夫元総理の普天間問題は1)の段階で基礎的知識が欠如していた。菅直人元総理大臣の福島第一原発への対応は1)も2)も欠如していた。海水注入で再臨界すると考えたのはまさに1)の欠如だ。
 野田佳彦元総理に至っては1)、2)、3)の欠如で、1)と2)は財務省の受け売り、そして3)では結局、国民から責任を取らされたことになった。
 民主党政権は政治主導が発揮されず、最後は責任も取らない未熟さが露呈した。ただ、唯一効果があったとしたら、自民党が外交や防衛で二枚舌で先送りしてきた政治課題、意図的に無作為を繰り返してきた政治課題等が明らかになった点だろう。
 新自民党政権は、まず、これに立ち向かい、真の新自民党をアピールしなければならない。決まらない政治は衆参ネジレ状態に起因するのでもなく、政党間の合意でのみ解決するのでも無い。国民の声で解決するのだ。民主党は、いや、今までの政治は主権者たる国民に訴えることをせず、官僚が作った作文を数の論理で通そうとしたからネジレた。
 政治に一番必要な言論による国民の説得に勢力を注いできた政治家が皆無だった。テレビの政治バラエティに出演することが国民との対話と思ったら大間違いだ。まして、高いパーティ券を買わせて「政治情勢報告会」なんてのは全然明後日の方向を向いている。
 インタネが発達した時代に、双方向で国民と対話する機会は目の前にある。にも関わらず、その努力をしないのは何故なのか。それは、次回の選挙で当選することが政治活動で、日本の国家像、国益を語って墓穴を掘りたくないからだ。ばらまき政治が一番票に結びつくって発想しか無い国会議員が多すぎる。インタネの中でバトルして真の国民主権を体験しなくては、国会議員自らが民主主義を否定することになる。
 その意味では7月の参議院選挙は、衆参同時選挙であっても良い。選挙活動へインタネも解放されるし、国民には日本を背負うに足る政治家が、政党が、明確になる。


結果に責任を負うのが政治
 原発再稼働に向けての法整備は確かに必要だ。現行の法制度では電力会社が「これ以上赤字を出したら倒産するから原発を再稼働する」と勝手に再稼働させても止めさせる法律は無い。せいぜい、裁判所に差し止め要求を出して、判決が下るまで待つしか無い。それも最高裁まで行くのだから、たぶん、3年より長期になるだろう。
 電力会社がそんな無茶はしないと思うが、原子力発電政策が「国策民営」で行われてきた故に法律に不備があるのも事実だ。
 しかし、政治は結果責任だ。エネルギー自給率がここまで低い日本で原子力を使うことは必然であった。であれば、いかに安全に使うかの技術開発に傾注すべきであった。防潮堤の高さを競っても自然は人間の作ったものを乗り越えてくる。多重防御神話は今回の福島第一原発の事故で崩れている。そもそも、福島第一原発の真の原因は解明されていない。故に、真の安全対策も立案のしようが無い状況だ。
 活断層の有無で地震学者が騒いでいるが、ま、石原慎太郎氏だったら「地震の予知も出来ないバカ学者が危険だからって言ったからはいそうですかなんてならない。政府が事故のリスクを包含した再稼働を責任をもって判断すべきだ」となるだろう。バカ安全神話学者を信じて馬鹿を見た国民は、バカ地震学者にはもう欺されない。
 再稼働の視点から福島第一原発を見ると、これはずいぶんとタチの悪い原発だ。稼働40年、沸騰水型。つまり、構造が単純で自己制御制に優れているので安上がりの原発だ。なんせ、40年も前の技術では安全対策にも限度がある。最新の知見が反映されていない。
 日本の原発の稼働開始日がここにCSV形式であるエクセルで脚注付はここ
 まず、書類審査で落とされるのは1972年以前に稼働した40年以上前の原発だろう。次に津波による水没対策が完了していないものが落とされる。震度7に耐えられないものも落とされる。結局、残る原発は半分程度になる。なおかつ、一箇所3機以上の設置の場合、同時稼働は2機までとして福島の二の舞を避ける。
 あとは、火山学者によるハザードマップの整備が済めば、再稼働は政府の責任(被害が生じたら国庫負担もしくはそれに準じる制度整備)で再稼働させて良いだろう。
 ハザードマップと地震学に関しては下記のリンクを参考にしてもらいたい。

button  原発事故対策は火山ハザードマップの手法で
button  2030年が2030年「代」で、原発ゼロは努力目標化した

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2013.01.07 Mint