普天間基地の移設は民主的で合理的で経済的な解決策

奇っ怪な迷惑料10億円
 年度末になって奇っ怪な話が持ち上がった。防衛省が沖縄の与那国町にレーダー基地を中心とした陸上自衛隊沿岸監視部隊約100名を配備する計画をたてた。与那国町に町有地の買い取りなら1億円、借地なら年間500万円を提示すると外間守吉与那国町長は「迷惑料」10億円、借地代金年間1500万円を要求したと言う。「迷惑料」は「市町村協力費」と名称は変えたが町長の一方的発言であった。現に、町議会では与党から「目先の10億円に目がくらんでいる撤回しろ」と迫られている。
 これに対して外間守吉与那国町長は「びた一文まけない」と突っぱねている。
 民主的手法を取らない町長の独断専行は明らかだ。少なくとも100人の自衛隊員が与那国島にもたらす経済効果を考えると「熱烈歓迎」あたりが妥当だと思うのだが。
 迷惑料10億円の名称が先行して本州の新聞では書かれていないが琉球新聞、八重山新聞等では町長の発言を支持する雰囲気を醸している。防衛省は10億円予算化してるから当然だって立ち位置だが、これは造成費を含んだ金額。金があるなら取るってスタンスは政治的でも無いし民主的でも無い。
 そもそも町内には賛成派と反対派が居るらしいが、反対派の言い分は「国境に近い所に自衛隊を置くと標的にされるから迷惑」って話だ。何を考えているのだろうか。「沖縄の自衛隊増強反対」ののぼりを上げて数名がデモ行進しているが、では、米軍で良いのか、自主防衛はしないほうが良いのか。どうも、良く解らない。
 一方、賛成派は経済効果に期待している。町立の小中学校の給食無料化、出産のための渡航費(与那国島には産婦人科が無い)の無料化が行え、なおかつ自衛隊の需要があると賛成なのだ。このようがよっぽどまっとうな選択だ。
 自衛隊が「迷惑」って1960年代の日教組教育がいまだに沖縄では現役なのだろうか。
 もっとも、夏には町長選挙があるので、事態は流動的だ。

「時間がかかるから他がいい」
 4月3には普天間の移設に向けて宜野湾の名護市周辺の埋め立て許可を出すように菅義偉官房長官が仲井真弘多知事と交渉したのだが、仲井間知事はタイトルのように「時間がかかるから他がいい」と県外移設を促した。はては、4/28の「主権回復の日」式典にも難癖をつけ、沖縄はその日に主権は取り戻せていないと言う。
 現在、那覇の米軍基地の南側が返還対象になっており、この交渉も不満らしい。返してくれたって使い道が無いし、今までもらっていた賃借料が入らなくなるってのが不満の原因だと言う。寝てて入ってくる金が、農業して働かなくては入ってこないのが不満らしい。
 いったい沖縄はどうなっているのか。
 沖縄の地勢的条件を利用して国からの金を当てにする。これは沖縄返還から40年間変わらない沖縄の姿勢であった。そろそろ自立する事を考えるべきだろう。そもそも地勢的に不利で不満であれば自らが引っ越す選択肢がある。事実沖縄の米軍基地の地主たちは現在は不在地主が大半だ。いまさら土地が帰ってきても沖縄に戻る選択はしないだろう。ならば、その土地を官民併せて買い上げて産業整備に使う必要がある、その金も国に出せと言うのだろうか。
 北海道も多くの市町村が自衛隊と国鉄頼みだった時代があったが、現在、北部方面隊が宿小して自衛隊が駐留しない市町村も増えた。しかし、出て行くなら敷金も礼金も置いていけなんて話は無い。
 沖縄の経済が自立するために、過渡的に自衛隊の金や米軍基地を利用するなら解る。自衛隊や米軍基地の金で食っていくのでは未来は無い。


メアさんの話は正しかったのか
 沖縄発言で更迭された元米外交官メア氏だが、彼の沖縄発言は正しすぎて禁句だったのだろうか。「沖縄はゆすりの名人」の発言が更迭の直接の原因だが、その後彼が出した『決断できない日本』は10万部を売り上げるベストセラーになった。
 彼が更迭された翌日に東日本大震災が起きて、彼は引き続き駐日してアメリカの対日タスクフォースの調整官を務めた。ま、すくなくとも暴言好きな政治家よりは物事を見る正確な目を持っているのだろう。
 おもしろいのは、彼が本の販売促進のために沖縄に入ると抗議デモが仕掛けられていて参加人数が4人だったそうだ。在沖縄総領事の時は抗議デモは40人は居たそうだ。
 ケビン・メア氏は著書「決断できない日本」で書いているが日本の「和をもって貴しとなす」は平時には重要かもしれないが、危機的状況で和を求めていては前に進めず、状況が悪化することを防げないと。
 与那国への自衛隊レーダー部隊の進出は、日本の防衛の強化が必要な危機的状況に対応するためだ。普天間基地の移設も住宅街の真ん中の基地でドンパチ出来ないのは自明だ。そのための進出であり移転なのだが、「和」のための潤滑油として金をよこせでは解決策にはならない。
 1ヶ月に渡って東日本大震災の調整役を果たしたケビン・メア氏が講演で述べているのは、アメリカが日本に出来ることを列挙して日本に渡したら、日本から100項目もの質問が戻ってきた。ヘリコプターが放射能汚染されたらどのように賠償したら良いのかとか、アメリカに頼ったら結果責任は誰が取るのか決めておきたいとのことらしい。もちろん、行間からはアメリカの責任でやって欲しいとのことらしい。
 また、3/11日、当日の夜に東電から領事館に「アメリカのヘリコプターで真水を大量に運べないか」との問い合わせがあった。この時点でアメリカは原子炉を冷却する手段を失っていると推測できた。この情報をもとに、在京9万人のアメリカ人の撤退がホワイトハウスから出された。これを50マイル以内に留めたのがケビン・メア氏だった。
 沖縄はもうすこし上手に「ゆすりの名人」になるべきだろう。あからさまに見透かされては今後は無いし、ゆすりのネタは縮小するのは必然なのだから。

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2013.03.12 Mint