自民党改革無くして経済成長無し
ま、慰安婦問題で大ポカをやって立ち直れない橋下徹大阪市長だが、彼の地方自治戦略には「統治機構の改革」の文言がある。今回の経済成長戦略を見ると同じく統治機構の改革が見える。それは官僚統治の改革である。官主導の経済戦略は盛り込まれていない。つまり、「戦後レジュームからの脱却」を標榜した安倍晋三総理が「官僚統治からの脱却」を目指してることだ。
そもそも安倍晋三総理の考えは小さな政府であり利権を広げて大きな政府を目指す旧来の自民党とは一線を画している。
その成長戦略で(に、かおこつけて)実施されるのが農業改革である。既存の農業はTPPによって大打撃を受けるのだから、これを利用して農業改革を行おうってのが安倍晋三総理の思惑だ。
それが具体化したものが省庁を横断的に捉えた「農業強化本部」だ。農業強化と名称は当たり障りが無いが、実質的に農業、とくに農地への規制を緩和する政策論議を行う。一気に農地の売買を規制緩和すると関連制度を直さなければならないので、まずは農地を企業に貸し出す制度を創設する。企業は借りた農地で農業を行う。農業への企業参画では無く、賃貸方式などが検討されている。
民間の産業振興の手助けに留める。これが安倍晋三総理の成長戦略における官僚の介入度合いだ。昭和30年代の所得倍増政策を官僚が担った時代は20世紀のもので、21世紀には民間主導を引き出す政策に転換したのだ。
そこには、明確な方針がある「小さな政府と安い税金」である。
官僚主導の組織の肥大化と過剰サービスを一気に縮小させる。それにより将来必要な福祉関係の費用も捻出する。大胆な税制改革がこの先に見えている。
で、問題は消費税8%の時期だ
民主党が手のひらをかえしたように消費税増税を自民党と公明党との3党合意で法案を成立させた。但し、付帯事項として「経済動向」によると書かれている。最初のハードルは2014年4月の8%への諸費税増税だ。
但し、当時の自民党は谷垣総裁で、なおかつ自民党は総裁一任を行った。つまり、三党合意は党としての約束では無く、当時の総裁が「一任されて」合意したものだ。との立場を残した。総裁が替わったのだから三党合意は反故にされるとの解釈も成り立つ。
実は安倍晋三総理は消費税の増税時期を「まったくの白紙」とことある毎に答えている。「慎重に判断する」では無く。「まったくの白紙」だ。
三党合意は何処吹く風って分けだが、法案は既に成立しているのだから、何時かは実施しなくてはならない。もっとも、廃案法案って法案を成立させる方法はあるが。
安倍晋三総理の国家観は基本的に「小さな政府」だ。アメリカ的な合衆国政府の考え方だ。政府は国政である外交と防衛を主たる業務とし、国内は地域単位(道州制等)で政策立案して行けば良いって考え方だ。
残念ながら橋下徹大阪市長の率いる維新の会が、今年の参議院選挙で惨敗すれば公明党を切って維新の会と連立を組むってシナリオが実施できない。
公明党は「決まったことだから」と消費税増税を迫ってくるだろう。これに対抗するのが維新の会だったのだが、橋下徹氏は、安倍晋三総理は腹の中で「なんてことを、やってくれたんだい!」ってことだろう。
歴史を知らない橋下徹大阪市長の自己中な歴史観が政局にまで及んでしまったのだ。
橋下徹大阪市長の慰安婦問題発言は正しい歴史(当時の価値観で判断する歴史観)を教えていない日本の教育の欠陥で、特に別途「近代史」を創設しない文科省の不作為が招いた数々の悲喜劇の一つだ。これは後日、別項にて。