野党再編成の着火マンは「みんなの党」

渡辺vs江田が党を割る
 渡辺喜美みんなの党代表が幹事長だった江田憲司氏を更迭した。野党再編成に党代表をさしおいて他党との会談を行い、その結果を報告しなかったってのが表向きの理由。
 実際には17億円ほどの政党助成金や2億円程の立法事務費の使い道が渡辺喜美党代表の独り占めになっており、透明性が無いとかねてから江田憲司氏は話していて「渡辺喜美商店から株式会社みんなの党への脱皮」と公言するものだから渡辺喜美党代表から煙たがられたってのが真相だろう。
 更迭されても渡辺喜美党代表は「私の方から、党から出て行けというつもりはまったくない」、江田憲司氏は「離党は、まったく考えておりません。私から離党する理由がありません」と記者会見で述べているが、これも建前と本音で言えば建前。
 渡辺喜美氏は江田憲司氏の自発的な離党。江田憲司氏は野党再編成の時流が出来たときに仲間を引き連れて離党が本音だろう。
 「みんなの党」の動向は野党みんなの問題として跳ね返ってくる。但し、その影響が出てくる国政選挙は3年間は無いと予想されるのでその動きは鈍い。来年の秋口を見据えての行動になるだろう。
 誰もまだ焦ってはいないってのが政界の現状だろう。こんな状況でうかつな動きは出来ないって消極的な態度が、やがて来る野党再編成に乗り遅れることになるかもしれないのだが。

みんな、民主、維新がガラガラポン
 もう一つ渡辺喜美vs江田憲司の火種は野党再編成の方法論だ。渡辺喜美氏はみんなの党が中心になって結集しみんなの党が大きくなる野党再編を考えている。党代表としては当然の方針だが、これは個性的な渡辺喜美氏のキャラが災いして困難だろう。そのためには「渡辺商店を解体して株式会社渡辺へ」と江田憲司氏は叫ぶのだが、これが耳に痛いのではみんなの党中心の結集は絵に描いた餅になる。
 一方、江田憲司氏が考える野党再編成はガラガラポンだ。いや、今回の一件で江田憲司氏はそこに追い込まれたと言ったほうが良いかもしれない。それしか江田憲司氏に選択肢は残らないのだから。
 現在の党を他の党と合体させてと考えていないのはあと二人居る。まさに、選挙投票当日に江田憲司氏が会談した相手だ。民主党幹事長だった細野豪志氏、維新の会国会議員団幹事長の松野頼久氏の二人だ。その裏には維新の会共同代表の橋下徹氏、元民主党代表の前原誠司氏が居る。
 二人とも現在所属する党には見切りを付けている。ベクトルの違う者同士が同じ政党に所属する状態にあるのが今の民主党であり維新の会だ。
 民主党は選挙で惨敗して古い人間ばかりの党になってしまった。だから、海江田万里代表が参議院選挙で負けても代表選をやって交代させるって動きが活発にならない。民主党全国幹事長会議が開かれて海江田万里代表の更迭論が出たとしてもずるずると党代表を続けていくだろう。
 引力を失った民主は海江田万里代表が何もしないでただただ代表の座に座り続けると良い。そのことで民主党内に野党再編成の遠心力が働く。


野党再編成の加速エネルギー
 江田憲司氏がキーマンになるのは間違いないだろう。細野豪志氏も実質幹事長の辞表を叩きつけた側だからキーマンになる。橋下徹氏は国会議員では無いので野党再編成には直接絡んでくることは無いだろう。維新の会国会議員団の幹事長・松野頼久氏が絡んでくる。
 上記の3名の動きが野党再編成を加速させるエネルギーになる。他の人間が野党再編を口にしても実現性が乏しい。逆に、妙なアドバルーンを揚げてると痛くもない腹を探られることになるだろう。
 この3人で野党再編成の勉強会を立ち上げようとしている。この動きを横目で見ているのが菅直人氏や先の海江田万里氏だろう。流れによっては足元から流出して足を掬われることになる。もっとも、次回の選挙ではよほどの手柄を上げていない落選確実なので、もはや両者は時間の問題なのだが。
 橋下徹氏は別途、前原誠司氏とコンタクトを取りながら大阪都構想を京都(前原誠司塩選挙区)に広げ、前原誠司氏は維新の会とのパイプを生かして国会での勢力形成へと両者にメリットのある野党再編成を目指すだろう。
 最後に、今回の野党再編成に蚊帳の外となる面々をピックアップしておこう。菅直人氏、海江田万里氏、石原慎太郎氏、アントニオ猪木氏、平沼赳夫氏、あたりだろう。

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2013.08.13 Mint