経済対策5兆円+消費税増税は官僚天国の日本の象徴

何のための消費税増税か?
 普通の会計基準なら消費税を5%から8%に上げるのは、その必要性(用途)があるからだ。何も、新しく5兆円の経済対策を行って消費税を上げるのでは説明が付かない。そもそも、「税と福祉の一体改革」と言っていた話は何処に消えたのか。
 自民党体質そのものの「税と公共事業の一体化」が消費税増税の本質だ。その自民党体質を官僚は知っているから「税収の増加を容認してくれれば小遣いやるよ」的なシナリオを持ち出してくる。それが、まんまと成功する。
 消費税を増税するのは目的があるから。それが年々増え続ける高齢福祉分野だってのが国民への説明であった。景気条項が付随しているが、経済再生の目処は見えてこない。円安によって輸入原材料が値上がりし、見かけの物価指数を高くしてるが、これを経済成長によるインフレと読み違えている。そのため、消費税増税による税収の増加以上に経済対策に予算を使っている。結局、消費税を3%増加する説明が付かない予算措置を行っている。
 たしかに、官僚にとっては自分たちの使える金額が多くなるので消費税増税は歓迎だろう。政治家は言い訳」の経済対策で選挙の実弾である予算獲得に走ることができるから歓迎だろう。しかし、明らかに国民不在のWin&Winの茶番劇だ。

財政再建の目処には触れない
 消費税を増税して借金まみれの日本の財政を健全化するとは誰も言わない。消費税の増税だけで財政を再建できないからだ。そのシナリオが描けないのだから触れることもしない。
 加えて経済対策に法人税減税を打ち出してくる。消費税増税による一時的な国内市場の冷え込みは法人収入に連動し、法人税を減税しようが法人は法人税を納められないほど収益が悪化する。一部の輸出メーカは円安の恩恵を受けて法人税を多く納めるだろうが、こちらの企業は輸出割戻し税で還付があるので、実質、何のために税率をいちったのか解らなくなる。
 この輸出割戻し税は2010年度で総額3兆3,700億円強で、消費税は1%が約2兆円と換算されるから1.5%は輸出企業に振る戻される計算になる。ちなみに消費税率が上がると輸出割戻し税も増加するので、実質現在の消費税は国庫収入は3.5%(含む地方税分)でしか無い。これを10%にしても輸出割戻し税をもらう企業に吸い込まれるだけである。
 ましてや、財政健全化を消費税に頼ることができないのは、輸出大企業が吸い取ってしまう現在の税制では国庫収入は増えていかないのだ。
 消費税に税収を頼るのは非常に不健全だ。何故なら、弱者から集めた消費税が輸出大企業の収入になる。弱者を懲らしめて強者を救う税の性質があるからだ。


財政再建は支出改革から
 「パーキンソンの法則」って言葉がある。イギリスの歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソンが著書の中で述べたものである。
 役人は
 1)ライバルではなく部下が増えることを望む
 2)相互に仕事を作りあう
であり、実際の仕事の増減に関係なく年7%も役人が増えている現実を述べたものだ。
 役所(国家公務員、地歩公務員含む)の構造改革を行わないと財政再建は出来ない。役所からの天下り団体への交付金が最大の非効率だ。食料管理法が改定になって米穀通帳が不要になっても永六輔氏が請求したらちゃんと渡してくれたって例があるように、一度作った組織は温存(役人はライバルでなく部下が増えることを望む)される。役人の仕事にはPDCAが無い。PDだけ。つまり、言いっぱなし、やりっぱなしだ。
 日本の役人は公益法人を作っては天下っている。これは上記の1)と2)の合わさったものだ。どんだけ無駄な団体があるか洗い出してもらいたいものだ。このあたりは「みんなの党」の真骨頂なはずだが、活動が表面にあらわれてくることが無い。
 本来、役人のライバルは国会議員である。三権分立とは互いににらみ合う相互監視だ。行政府と立法府、役人と国会議員がWin&Winでは国民不在だ。
 野田元総理は結局、政党のマニフェストを破って役人の口車に乗って消費税増税を決めた。国民の代表としては嘘つきの非国民だ。
 パーキンソンの法則をやりたい放題にしている今の政治が問題だ。安倍総理も外遊で忙しいなら誰か担当大臣を決めて公務員改革を推進し、100年後の国家財政像を描くべきだ。すでに内閣人事局と人事院が「相互に仕事を作る」シナリオを書いているのだが、これを政治家は見破らなくてはいけない。
 与党で役人と持ちつ持たれつの関係を築くのは国民への背徳だ。役人のライバルとして政治家が活躍しなければ駄目だ。野党が一番やりやすいのがこの分野だが、存在意義を失った野党ではそれも出来ないだろう。
 政治家は右だ左だでは無くて、国家のマネージャーなのだと自覚すべきだ。
 消費税増税に伴う経済対策費に群がっているようでは志が低すぎる。

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2013.09.19 Mint