STAP細胞はマスコミと理研へのリトマス試験紙

リトマス試験紙
 小学校の理科の時間に習うがリトマス試験紙は対象が酸性かアルカリ性かを判断する手軽な試験紙だ。酸性の場合青いリトマス試験紙が赤に、アルカリ性の場合赤いリトマス試験紙が青に変わる。覚え方としては『賛成でも赤旗振って反対』と覚えると良い。
 今回の小保方氏の記者会見と不服申し立てで論文の適切さの判断は理研に差し戻された。その会見の様子を報じるマスコミと理研の姑息な対応が国民の前にさらけ出された。それは組織の機能不全のリトマス試験紙のようであった。
 マスコミはほとんどの記者がネイチャーの論文を読んでいないことが解る。中部大学の武田教授が今回の一連のSTAP細胞報道を特集しているので参考にして欲しい。武田教授のブログはここ核心部分はここ
 問題の論文は70枚以上の図表が使われていて、今回問題になったのはその中の2枚。これだけ図表があれば間違いもするだろう。それを捏造・改竄と称した理研はどうかと思うが、その訂正画像4枚を小保方氏から提供されて理研のホームページに掲載した後に削除しているのは何故なのか。まったく不可解な行動である。
 そもそも論文は特許や発明と違い、考え方の論旨を実際に起きた現象を元に発表するもので、その論旨が正しいかどうかよりも、その考え方が今後の他の研究者の研究のヒントになれば良い。それが論文の目的だ。考え方の一つを述べるものだ。
 そうでなければ宇宙の成り立ちなんて論文を誰も認めない。マスコミの論理だと「見てきたのか!」となるだろう。
 記者会見でのマスコミの質問は「体調不良を考慮して」なんて事前のお願いを無視する心許ないものだった。しかも、その取材源は週刊誌である。一部の学者から「製法に関する事実は出なかった」との声があがっているが、そもそもSTAP細胞に関する勉強不足で当日会場に居た記者に、その方面の質問は出しようが無かったのだろう。
 「未熟な科学者が論文を捏造・改竄した」のが理研の言い分だが「未熟」故に「壮大な取り違え」をしたとは考えられないのか。実は理研にも「お家の事情」があり、組織の論理で動いている愚劣な判断があったのだ。

調査期間は150日もあった
 調査期間は150日以内とあるが、実際の最終報告は45日で作成されている。本人への聞き取りは1回、残りの2回はテレビ会議で行っている。ノートの提出も「ノートは2冊しか無かった」と公表しているが、実際にはハーバード大との調整が必要なものは提出できない。「実験ノートは2冊だけ提出できた」が正しい表現。
 何もかも悪意を持って小保方氏の単独犯行にして終焉を計ったとしか受け止められない。実は、そこには理研の「お家の事情」があった。
 独立行政法人から特定国立研究開発法人への格上げ法案が今回の国会で内閣から提出される予定になっているからだ。その前に問題を解決させておきたいって組織の論理が不十分な調査と早急な結論に結びついた。実は特定国立研究開発法人になると給与額は一般的なものから能力に応じて青空天井に出来る。このことにより外国から研究者を招聘しやすくなる。自分たちの給与も自由に決められる。
 これで他力本願にて成果を出すこともできる。そんな思惑から「さっさとけりを付ける」となったのだ。そのとばっちりを受けたのが経産系の産総研で、法案の提出を見送ったので産総研も特定国立研究開発法人になるのが先延ばしされた。
 早急なエンディングのために矛盾を生じたのが論文の共同研究者達の立場である。「論文はネイチャーに出てから知った」などと自分は無関係を装う研究者も居る。これも自己保身のための「捏造・改竄」である。
 組織として「小保方研究は極秘扱いだった」ってのもいただけない。研究は一人で行うものでは無く、分業しながら共同研究として行うのが組織のあるべき姿だ。逆に理研は組織としての取り組みは行わないのか。
 漏れ伝わる情報として1月末のネイチャー掲載を知った理研の広報部が研究室の壁をピンクに塗り替えてムーミンのシールを冷蔵庫に貼って、小保方氏に割烹着を着せたとの情報がある。いったり理研は何をやる組織なのか。組織発祥の理念は何処に行ってしまったのか。


未だに本質を理解できないマスコミ
 出てきた情報を垂れ流すのがマスコミの機能では無い。出てきた情報を点として、この点と点を線で繋いでいくのが報道だ。その意味でも、理研の言い分と小保方氏の言い分を繋いで合理的な説明を加えるのがマスコミだろう。
 そもそも、理研の用意した小ネタの、ピンクの壁、ムーミンシール、割烹着に食らいついた時点でマスコミは理研に釣り上げられていたのだが、その検証も行われていない。
STAP細胞が捏造・改竄されたような論旨で書かれている記事があるが、これはまったく取材者の理解度が欠如している。論文に不正があったかどうかが問われているのだ。STAP細胞は、もしくはSTAP現象は確認されている。それは理研としても確認済みだ。そのようなSTAP細胞の有無の段階で調査や議論がされているのでは無い。
 正しく物事を理解できないでマスコミで飯を良く食えたものである。
 論文に捏造や改竄が潜んでいたとして、それが世の中にどんな害を著すと言うのかを考えてみることだ。天動説が蔓延していた時代に地動説をとなえることは罪であった。ガリレオは自らの意見を撤回する書類にサインする時に「それでも地球は動く」とつぶやいた。
 新聞記事を捏造や改竄したことと論文に、かりに捏造や改竄が有ったとして、どれほどの問題だろうか。論文はこのような結論に至ったとのプロセスの記述である。何故、そのような考えに至ったのかを理詰めで詰めていくプロセスだ。何処かで解釈の間違いがあると結論が正しくない。
そのような論文は過去に山ほどあった。
 月のクレータは火山だ、隕石衝突の跡だとの論議は延々と続けられ論文も沢山出たが、今では隕石の衝突の跡で落ち着いている。では火山説は改竄で捏造だったのだろうか。そこを考えてみると良い。
 論文を悪意に取れば改竄で捏造に見えるかもしれないが、自然科学の分野では真実は一つに収斂する。自然は唯一の現象しか起こさない。まだ、その現象に人類がたどり着かないときに諸説入り乱れる。それは「壮大な勘違い」で片付けられるのが建設的だ。
 ましてや特定国立研究開発法人の法案提出のスケジュールを優先し、時間をかけて真実に迫ることも手抜きし、大々的に宣伝して文部科学省から予算を獲得しようなどとは、科学研究機関にあるまじき背信行為だ。天下りを巧妙に「ウラ下り」の現役出向で組織を縛り、組織の保護を優先する役人の考えそうなシナリオだ。
それに釣りあげられたマスコミも国民への背信行為だ。
 少なくとも、珊瑚をK・Yと削って「てぇへんだぁ!」と言うような捏造は、今回の小保方氏の事件は無い。ただ、組織劣化したマスコミは更に悪化しているのを国民の前にさらけ出した。

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2014.04.14 Mint