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世の中は圧倒的に不確実
池上彰氏の番組が「解りやすい」と高視聴率らしいが、彼の「解りやすい」は物事を単純化することにより伝えられる。単純化されると脳にコピペしやすいので「解りやすい」と評価される。がしかし、池上彰氏が語ったことは、実は視聴者の記憶に残らない。何故なら、放送中はショウとして見ていられるが、放送後、では、自分は何を調べると良いのかって課題提供がほとんどない。つまり、見終わったら「オワタ」になるのだ。NHKを筆頭にテレビは政治バラエティも含めて「解りやすい」と評価されることがとても嬉しいようで、物事を極端に単純化して届ける。そこには放送法で決められている不偏不党の姿勢は無い。一方の言い分、より詳しく言うと「単純な言い分」に傾聴して何を伝えたいのか制作者の企図すら隠れてしまう。 ベネッセの名簿流出事件の報道でNHKは街頭インタビューを放映したが、子供を抱えた主婦がモザイクも無く親子で撮影されながら「個人情報が流失するって怖いですねぇ」と述べているのが放送される。「あのなぁ、お前の顔と子供と背景が解ればお前が誰か解るんだよ!」とテレビの前で叫びそうになった。が、思いとどまったのは「やらせかもしれない」と思ったから。テレビ局の欲しい映像を提供してくれるセミプロほどテレビ局にありがたいものは無い。そして、それを見せられる視聴者はたまったもんじゃない。 世の中の仕組みは通常非常に複雑で、物事の本質なんてのが池上彰氏のように「一言で言えばぁ」と言えるものでは無い。そもそも池上彰氏はNHKの子供ニュースで父親役で子供に世の中に事象を解りやすく説明するために、単純化と善悪を決めて説明する番組を担当していた。まさに子供向けには最適なキャスターなのだが、大人向けに同じ手法を用いると「解りやすい」と評価されるのはいかがなものか。視聴者に対して「子供だまし」を仕掛けたら当たって数値が稼げたって例でしかないのだが。 世の中はいかに複雑で、その利害関係を調整するのが、いかに難しいかを個々の視聴者が考えることで報道の意味がある。視聴者は鵜呑みにせよなんて番組は公共の電波を使って流すべきでは無い。数字が稼げるからとの理由で、企業はそんな番組のスポンサーになるべきでは無い。 世の中にはリスク(危険)とベネフィット(利便)が相反している事象ばっかりだ。どちらに重きを置いて物事を判断するかは個々人に任された人権の範疇だろう。それを「わかりやすい」の名目で個人の判断する権利を奪い洗脳するのがマスコミの常套手段だ。マスコミは自らが亡国の先導役なのに気が付くべきだろう。 |