韓国病に疲れた日米の憂鬱

外交条約は政権が交代しても遵守
 基本論だが明文化された法律には上下関係と言うか包括関係があると法学部なんかでは教える。「憲法>条約>法律(国内法)」である。韓国病では「憲法>行政府>司法>立法府>国民」のようだが。
 国内の問題は置いて置いて、国と国の約束は該当国が持つ法律(判例もその範疇)を超えて遵守されるべきって高位に位置付けられる。
 それが、国際社会の常識と言うか「合理的通念」で、これを遵守しなくては国家として国際社会で行動する後ろ盾を失う。国と国の約束を政権が変わるたびに反故にしてるような国家は国際社会で存続できない。それが現在の韓国病を発症した韓国の状態だ。現在、国連に加盟している「国家」と認められる国家は195ヶ国(若干の変動はあるが)と言われているが、この中に「国家の体を成さない」国家が存在するのも事実。
 名著「カラシニコフ」に書かれているように、大統領府の半径500mだけが治安が維持されている「失敗国家」が多数存在するのも現実。
 では、実際に国連に加盟して地球民ってスタンスで国家を運営している国はどれくらいあるのだろうか。
 正直に言って我々の住む地球を支配している国家として認められるのはG20が限界だろう。これすら少し多いと思う。実態はG7(フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)+1(ロシア)だろう。軍事力が世界を制する時代は終わって経済力が世界を制する(正確には世界に秩序をもたらす)時代に入っているので世界は経済力の強い国家の意思で動くことになる。
 ただし、中国が前述のG7に入っていない。GDPが世界第二位の中国を抜きにして地球を運営する国家連合足り得ないと思われるが、実は経済の構造ではG7の「属国」なのが中国の実態だ。
 部品を仕入れて安い労働力で組み立てて輸出する。ま、ペーパーカンパニー商法に近いのでG7の一員になり得る経済力では無い。
 これに近いのが韓国だろう。財閥経済の経済構造でやはり部品を仕入れて組み立てる産業が主体の経済構造にある。そして中国は共産党病を韓国は韓国病を発症している。
 余談だが1996年に会社の創立10周年記念で韓国のソウルへのツアーに出かけたのだけれど、当時の韓国での携帯電話は三星(今のサムソン)が販売していた。その携帯電話に硬く貼られた三星のシールを無理やり剥がすと「NEC」のロゴが出てきた。そこまでやるかぁって感じの韓国経済の状況だった。その後、OEMって手法に替わったみただけど、結局、部品を仕入れて組み立てる産業しか育っていない。

本論はFCSレーダ照射なんだが
 話の方向がずれたが、今回の韓国軍の海上自衛隊のP-1に対するFCS(Fire Contorl System(火器制御システム))の一環であるFCレーダ照射は不思議な事が多い。
 敵対行為を働いたって「不思議」はあり得ない。何故なら、そんな事をすればアメリカからの武器供与が受けられなくなる。同盟国同士で敵対行動をとるってのはありえないのだから。
 不思議は、以下の項目に整理される。
1)接近時
 通常の方位レーダ(クルクル回るやつ)が作動していたら「敵味方識別装置」が作動しており、海上自衛隊(味方)の航空機が接近しているのは事前に(目視以前に)把握できていたはず。
2)P-1上空旋回時
 行動記録として接近した航空機の映像の撮影は目視範囲に入ったら開始している。ただ、FCSレーダと同期してるカメラが追尾するためにFCSレーダをONにするのは先の「敵味方識別」が完了していればありえない。
3)海上警察の存在
 現場には「軍艦」に加えて、海上警察の艦も存在していた。日本とは同じでは無いが「海上自衛隊」と「海上保安庁」の艦船が同じ場所で活動していたことになる。
4)活動場所の特定
 日本の海上自衛隊の発表は微妙で「能登半島沖」とか「日本の経済水域(EEZ)」とか正確な場所は公表されていない。領海内なのか経済水域内なのかは微妙で、それに関して韓国は「人道的救助活動を行っていた」と表明(ま、主張がコロコロ変わるので何を「表明」してるのか責任を持たないようだが)。
5)救助活動の無線に応答しなかった
 世界標準で海難および航空の救助依頼は無線での通信によるが、121.5Mhz(航空国際非常通信周波数)、156.Mhz(先発国際非常通信周波数)、243Mhz(国際捜索救難周波数)の周波数で問いかけた海上自衛隊の通信に応答しなかった。

 では、何故、FCSレーダを照射(ま、電波なので「発放」が適語かとも思うが)したのか。その命令系統はどうなっていたのか。これは永遠に真実(エビデンス)は得られないだろう。
 過去に「金大中拉致事件」ってのがあった。当時、私は高校生だったのだが、夏休み期間で亡くなった祖父の納骨のために新潟の新発田市に国鉄、青函連絡船、国鉄ってルートで向かっていたのだが、北海道新聞は「和田札医大教授の心臓移植」で持ちきりで青函連絡船を乗り継いで青森に入ったら「金大中事件」を知ることになった。当時はスマホは無く、ポータブル・ラジオでニュースを聞く習慣も無かったので、情報を得るには駅で新聞を購入するしかなかった。
 当時の夏のセンセーショナルな話題だったが、心臓移植も金大中拉致事件もマスコミの報道から消えてしまうのは早かった。
 どうも、今回のFCSレーダ照射と同じく、政治的判断(和田教授の心臓移植ではなくて金大中拉致事件)が「おやくそく」なのが当時からの日韓関係なのだろうか?
 ちなみに「金大中事件」では日本側はホテルに残された実行犯の指紋が韓国の情報機関のものであることまで公表して捜査を依頼したが韓国病は時間切れに落とし込む戦術に終始した。

真実は憶測の域を出ないが
 海上自衛隊のP-1が撮影した映像には2隻の韓国艦と2隻の木造漁船(と推測される)が映っている。のちの韓国の発表では「遭難した北朝鮮漁船を人道的に救助していた」と言っているが、これは韓国軍の軍艦が行う行為ではなく(シーマンシップによる場合は別だが)、もう一方の艦船である韓国海上警察の船が行う任務。韓国海軍が出てくる筋の話では無い。
 しかし、こう考えると合理的説明になる(あくまで憶測だが)。
 日本海海岸に流れて着いている北朝鮮の木造漁船が多いが、これは大和堆(日本の経済水域内)にまで北朝鮮の沿海操業が主な漁船が出かけていて事故を起こすから。その事故の多くは「エンジン故障」だが、燃料不足も大きい。今の北朝鮮では経済制裁の効果が現れていて漁船の燃料すら自由にならない。しかし北朝鮮では軍隊は自ら食料を生産せよってことで往復ギリギリの燃料で大和堆に出て来る。少しでも天候が悪化すると帰投する燃料を使い果たす。
 そこで北朝鮮の金正恩氏はすり寄る韓国に対して危険な操業を行う北朝鮮(軍)の漁船の警護を文在寅大統領と密約する。これで恩を売っておきたい文在寅大統領は部下に指示する。
 ところが、私が何時も行っている「文系バカ」が出て、北朝鮮からの救助要請の無線連絡は韓国の海上警察では受信できない。たぶん、この周波数は先に書いた国際標準の救難信号では無くて、スクランブル化された非公開の軍事通信なのだろう。
 だから通信を受信できる韓国の軍艦が随伴することになる。
 そもそも、遭難した木造船をレーダで探せる訳が無く(木造船はレーダ電波を反射しない、そのためにヨットなどでは、あえて「レーダ・リフレクター」ってアルミで出来た板(玉)をマストに吊るしている)韓国の説明は文系のご都合主義の嘘が多すぎる。
 北朝鮮と韓国の間で「密約」があるのではないかってエビデンスに使われるとまずいので、追い払う意味でFCSレーダを作動させたってのが真実だろう。
 そもそも、同盟国である韓国軍と日本自衛隊では通常レーダで既に敵味方識別を行っているので、目視事前に同盟国だとは認識している。にも拘わらず、FCSレーダで追い払う(実際には失敗したのだが)には当時、この海域で何が行われていたか、実は極秘命令の作戦行動中だったので隠匿する必要があったのだろう。
 そう考えると全体像が見えて来る。(あくまで憶測だが)
 文在寅政権はなりふり構わず北朝鮮のポチになってるって政治判断が重要だろう。

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2019/01/26
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