箱根駅伝と「春一番」の思い出
箱根駅伝と「春一番」の思い出
お正月はマッタリと「箱根駅伝」見てます。
前に書いたかもしれないけど、30年前、いや40年前かなぁ、NECの子会社が「箱根根駅伝」の速報伝達の仕事を受注したんです。当時の事ですからパソコンのデータを本部に伝達ってんで、携帯電話の音響カップラーを使う予定だったのですね(落札は10月頃だったらしいです)。
で、気温5度以下の箱根でノートPCを動かすと、画面が見えない。
低温で真っ暗なんです。そもそも当時のノートPC(ま、ラップトップと呼んでたけど)の使用環境は10度〜30度なのに、箱根のアウトドアなんかで使える訳がない。
で、NECの関連会社は「車を道に停めて暖房」って申請したんだけど、最後の箱根の登りでは道幅が狭いのでボツ。じゃぁ、口頭で送るって言ったら「提案と違う」とボツ。
で、NECの情報網が当時は強くて「ほくでん」がポータブルターミナルにようる検針(電気メータの読み取りです)の入札を行っていて、当時の「ほくでん」の機器基準は「氷点下30度に耐える事(後に20度に変更になりました)」だったので、NECはハンディターミナルの仕様を変えたいのだけれど、当時はニッカドのバッテリーで無理で、わが社に「共同研究」を依頼して来た。実は私は東レと「カーボン発熱繊維(今では当たり前ですね、30年前は珍しかった)」でのターミナルの保温を研究していたので、「ほくでん」への提案書に実験結果を添付して報告していた。
そんな話が「社内網」で伝わったのか、11月に電話が来て「保温出来るバッテリーでの駆動の装置があるって聞いたんですけど、教えてもらえますか」って東京に呼ばれた。
行ってみると「困ってるんです、気温が低いと画面が真っ暗なんです」って話だった。
実は「ほくでん」では大企業の勝手で「基準を氷点下20度に下げる」って対応で、数年はNECだったんだけど、今使っているのはIBMじゃないのかなぁ(現役じゃないので、詳しくは知らない)。
で、余った在庫(ま、これもふざけた話して「春一番」(キャンディズの曲です)って名前で10万円かけて不良在庫になっていた)
で、これが「箱根駅伝」で2年間デビューしたんです。
ノートパソコンのディスプレーに2枚張ると、駐車場の車から12Vで通電できてディスプレーが「光るんです(変な表現だけど)」
2年間使われました。
TV中継では「こんな装置を利用してパソコンの防寒対策してるんです。早朝の箱根は寒いです」と映像も流れました。
3年目に「付属のバッテリーを購入したいのですが」と電話が入り「12V仕様ですから、車から延長ケーブルで可能ですよ」と答えて仕事は継続しませんでした(ま、会社が「製品開発」に意欲を失っていたのが原因でしょうね)。
「春一番」はなくなりましたが「箱根駅伝」を支えていたのは私です。
不良在庫10万円を30万円で売り逃げたけどね(笑い)。


2022/01/03
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