UFR動作による停電と送電の仕組み
UFR動作による停電
 2022年3月16日の福島沖の地震(M7.2)による本州方面での停電の説明が「UFR動作による」と最初に発表されて「文系」の記者諸氏は「???」だっただろうなぁ。 今の文系教育では電気は直流のみで、交流の概念は教わらない。
UFRはunderfrequency relay(不足周波数継電器)のことで、つまり「人為的に電気を遮断(合理的に)したので、故障や事故では無い、だから修復は早いとは理解できないだろうなぁ。
 私はTVで「UFR作動」と聞いた時に「ああ、北海道ブラックアウトと同じだ。ただ、夜間でも火力発電を止めるような運用はしてないだろうし、発電所の事故は起きてないから復旧は早いな」と感じていた(実は実態は違っていて、6機の火力発電所も停止していた)。
その後、朝起きてTVを見ると「大停電」とか、あの後に騒いでいたのだなぁ。こちとら2018年9月6日の「北海道ブラックアウト」で43時間も自宅が停電した経験があるので「備えておけよ」って感じだったけど。
ちなみに以後は「交流送電」って一般的な技術の話なので、興味の無い方は、以降は読まないで別なスレッドに飛ぶことをお勧めします(笑い)。
 日本の電力は東方面が50Hz西方面が60Hzの交流で送電されている。電気のと言うか「電球の父」のエジソンは、発電所から各家庭までの「送電」を直流送電にしたかった。何故なら「+局」と「ー局」の2本で送電できるから設備の投資が安くなると考えた。
しかし「直流」しか知らなくても「W=IR^2」は習ったと思う。
この式はW(出力)はI(電流)とR(抵抗)に自乗で計算できるってことを表している。
つまり、送電で言えば、送電線からの発熱(これは、送電ロスってエネルギーの損失になる)を少なくしないと発電所で作った電気が末端の「電球」に効率良く届けることができない。
で、送電には3相交流(これが、エジソンの3本だと5割高くなる論になるんだけど)送電って概念が形作られる。
3相交流が必要なのは、発電機って回転して電気を起こすので、3つのコイルで1回転で「位相」を変えて3回発電して交流を発生(正確には電圧を発生させ)電気を生み出す。当然、1回転で3個なので、それぞれの電気は120度の位相差がある。
つまり「送る時はI(電流)を少なくする」って方式を「変圧器」を使って高い電圧で電流を少なくするには、交流しか選択肢が無いのです。「変圧器」は直流では動かない。何故なら「電磁誘導」って仕組みで「少ない巻き数に電気を流して、大きな巻き数でその作られた電磁気を拾って、電圧を高くする」のが変圧器だ。
この変圧器を使って「高い電圧、低い電流(送電電力は一定)」を作りだしていく。 鉄chanなら新幹線の電圧は知っていると思うけど交流25000ボルトだ。それくらいの高い電圧にして電流を低くしないと「送電ロス」が大きくなる。
 さて、終盤です(笑い)。
 みなさんが見上げる送電鉄塔に張られている「送電線」(基本は3本なんだけど、被雷索があるので4本の場合が多いですが、この電圧は20〜50万ボルトです。1本1.5Vの乾電池に換算すると(そんなの必要無いけど(笑い))33万本以上になります。
そこに流れるI(電流)は100アンペア程度に抑えられています。家庭で使うホットプレートの8倍程度でしょうか。焼き肉屋のホットプレートの台数の半分くらいかな。
この送電線から各地の「変電所」に電気を送ります。
 変電所では、各家庭に電気を運ぶために、現在では(私が大学で習った頃は違ったんだけど)6600Vにして各家庭用に電気を送ります。みなさんの家の一番近くの電柱には3本の線が来てませんか?
これが6600Vの3相交流の配電線です。
ここから自宅には、柱上トランスを経て、たぶん3本の電線が伸びていると思います。
ここでは電柱にある「変圧器」が3本の6600ボルトの電気から家庭用に100ボルトの電気に変換するのですが、最近は200ボルト機器を使う家庭も増えているので3線2相って給電(引き込み線)に切り替えています。
最後になりますが、皆さんは「火力発電所」の出力コントロールをどのようなイメージで居ますかねぇ。
 車のアクセルを踏むように「急加速」は出来ないんです。
「熱設計」ってので、出力変動と「窯のストレス」が事前に設計されています。一般論ですが「火発の出力を上げるには10%出力変更するには10分かかる」ってことです。
「風呂の窯を焚くようには行かないのです(笑い)」 交流送電の「入りを計って、出をコントロール」がUFRなんだけど、その説明は機会がああれば後日にします。交流送電に関する基本的な知識が無いとUFRは解らないだろうなぁ。日本は増々「文系社会」になってる(持論(笑い)) 長文精読感謝です。

2022/03/18
Mint