天国の階段、記憶の戻ったチェ・ジュウの魅力

ネタバレで1話毎の記事が多い
 インタネで「天国の階段 nn話」で沢山のblogが検索に引っかかる。ま、ドラマを見ての感想なんだろうが、blog恐るべし、下手すると放映前にストーリーを知ることになる。
 フジの吹き替えの地上波は見ないと前に書いたけど、時々見ている。今回のチェ・ジュウの泣くシーンが冬のソナタと違い「声を上げて泣く」って場面が多い。冬のソナタでもスキー場でペ・ヨンジュに「ここに泣きに来たんでしょう」と言われて人工降雪機からの雪を浴びながら声を上げて泣くシーンがあったが、これが唯一だったと記憶している。
 地上波の18話でも声をあげて泣くシーンがあるのだが、吹き替えのしゃくり上げる感じが全然なってないので、実際にはどんな声だったのか気になっていた。ついにと言うかフジテレビ721でも9話が放送されて、記憶を取り戻したチェ・ジュウが夜の町を声を上げて泣きながらさまようシーンがあった。
 うん、まともな演技だわなぁ。声を上げて泣く演技はあまりしゃくりあげるので無く、鼻からうめくような発声で声を出したほうが良い。そもそも、しゃくりあげるのは鼻水が流れ出るのを防ぐためだから、演技としてはしゃくりあげるのは美しくない。
 吹き替えに至っては何故、声を上げて泣くのかが説明できて無くて、ま、いつものことだけど吹き替え版は価値が無いなぁ。
 台詞の吹き替えだけでなく、例えば殴り合いのシーンで力をためたり、殴られてのけぞったりの臨場感を出す吹き替えは、もう日本では難しいのだろうか。アニメ吹き替えしか無くなっているようだ。

叫ぶチェ・ジュウに驚き
 10話になるのだが、義理の兄のテファと扉を挟んで言い合うシーンがある。そのまえに遊園地で「離して!」と叫ぶシーンがあるのだが、あの力の入った大声で喉を潰してしまわないのかと気になった。あれだけの絞り出すような大声は喉を痛めるだろうに。日本でもあそこまで声を出せる女優は少ない。男女7人秋物語当時の若い大竹しのぶならできるかもしれないが。
 10話の感想としてインタネに散見されるのが「話の展開がとろい」って意見だろう。確かにテファ(シン・ヒョンジュン)が皆に、特にソンジュ(グォン・サンウ)に説明していれば展開が早くなる。「5年前の交通事故で記憶喪失になったが、彼女はチョンソ(チェ・ジュウ)なんだ」と言えば済むだけ。
 ここがまた韓流ドラマの神髄なのか、妙に言いたいことを言わないで誤解を積み重ねていく。これはある種、視聴者にとっては優越感を醸し出す手法かも知れない。冬のソナタでも視聴者は全部知っていて、出演者個々が知っている情報に微妙なズレがあってイライラする場面がある。もっとも、そのイライラの間に出演者個々のものの考え方が見え隠れして楽しめる。

小道具と会話の妙
 何故自分が持っているか解らないまま、過去を忘れようと運河添いで捨てたネックレス。海外留学に出るソンジュ(グォン・サンウ)と交わしたネックレス。記憶を取り戻したチョンソ(チェ・ジュウ)が最初にしたのが捨てたネックレスを草むらの中から探し出すこと。もちろん記憶が戻っているので、それが何かを思いだしてる。しかし、すれを見せることはしない。ドラマの展開としては唯一ソンジュであることを証明するアイテムなので、何故使わないのかイライラした人が多いと思う。行間読み(って、ドラマで言うのかなぁ)すると記憶は、まだ、断片的にしか戻っていない。何処を思い出して何処を思い出していないのかが周囲の人々の恐怖を醸し出す。そんな演出なのかなと見てしまう。
 トイレに駆け込むソンジュのコートから落ちたソンジュのネックレスを見てチョンソ(チェ・ジュウ)が「まだ、チョンソを忘れられないのね」って発言は意味が深い。それがソンジ(グォン・サンウ)にとってチョンソとの想い出の品だと知っているのだから。一回もいわれを話したことが無いチョンソが言ったのだから、少し凝ったシナリオなら、ここで、せめてソンジュに「何故、知ってるの」くらいは言わせてもらいたい。あっさり、流す演出はどうなんだろう。
 ラスト近くで階段で飲みながら酔ったチョンソ(チェ・ジュウ)が「私がチョンソなの」ってシーンは、いかに説得力無く話すか苦心惨憺って感じだ。やっとチョンソを忘れたソンジュ、それを見届けてテファの元へ去る。そんな決心を何処かでしたのだろうが、それが解るシーンは無かった。
 行間では、昔の恋人が自分を忘れて幸せになってくれれば、例え結婚しないまでも、テファの元で一緒に暮らしたいって決断が10話のラストシーンだ。もっとも、チョンソ(チェ・ジュウ)の気持ちも今後右に左に揺れるのだろうが。

睨むチェ・ジュウも迫力がある
 眼球の毛細血管浮き出たような「ユリ睨み」も凄いが、チェジュウの「昔のチョンソじゃないわ」ってのも迫力ある。お嬢様育ちの5年前とは違い、南大門市場で鍛えられた5年間の競争心と闘争心、これは実は第3話で市場の商品を巡ったトラブルでつかみ合いの喧嘩をしている所で布石が打たれている。
 インタネで目にする感想にも「チェ・ジュウが怒鳴り散らすシーンは絶対に吹き替えでは味わえない」ってのがあるが、まだ先らしいが、非常に楽しみだ。冬のソナタでは相手が記憶喪失で耐える女の役どころだったが、天国の階段では積極的に生き方を模索する強い女の役どころなのだろう。
 記憶喪失って回りの人間はイライラするが、本人はどのような心境なのだろう。記憶を失った期間の自分と、全ての記憶を取り戻した自分と完全に二重人格になるのではないか。記憶を取り戻してキム・ジスとチョンソの両方を持ったチェ・ジュウの役所がますます複雑になる。ただ、南大門市場で培われた強さ、それが5年前には無かったものだ。
 その強い女が病気に蝕まれこの世を去っていく。そんな複雑な背景が天国の階段を有名にしたシナリオの巧さだろうか。
 あと、ハン教授だけど、冬のソナタで写真出演しか無かったチェ・ジュウ(あの時はユジン)の父親役だったんですね。ハ・ジョエンって、影薄すぎだぁ。

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2005.02.28 Mint