東京地検特捜部はホリエモンの本丸にたどりつくか

ホリエモン流錬金術が俎上に
 やはり東京地検特捜部の狙いは証券取引法違反程度の事件では無いようだ。たしかに10年やっていたホリエモンのライブドアが急に捜査の対象となったのはニッポン放送株購入の頃からの有頂天がきな臭く感じられるからだろう。村上ファンドだって同様なのだが、ある種、現在の証券取引法上は合法なのだ。この合法と違法の境目があいまいなのでとりあえず証券取引法違反で挙げたのだろう。
 「嘘の流布」ったって何が嘘で何が本当かは時間との関連で変化する。粉飾決算たって株価維持のための行為であれば、破綻するまでは株主は優遇されてるわけで特に被害者が居る訳では無い。株取引の基本、最後にババを引いたのは誰かって単純な話だ。誰もババを引かないように証券取引所ができる訳も無い。そもそも、証券取引ってそんなもんだ。
そもそも容疑事実が起きてるのは数年前2002年頃の話だ。なんで今更そんな前の話をむしかえすのかって疑問もある。問題は昨年からのホリエモンの急激な金使いの荒さだ。ホリエモン自身に金余りが発生していたのだろう。
 東京地検特捜部の捜査の本丸は「ホリエモンの金脈と人脈」に移っていると思われる。

金を使うことで資産を蓄積
 2005年7月に自社株を4000万株売り142億円を手にして、それれを旧ソ連の宇宙船購入にあてる。夢と冒険とロマンあふれる事業に見える。ガルフストリームも自家用機として30億円購入。自家用ジェット機が特に必要とも思えないが、これもまた夢と冒険とロマンあふれる趣味に見える。
が、実態はどうなんだろう。
旧ソ連の「アルマズカプセル」って軍事偵察を目的にした衛星で有人飛行の実態は無いのでは。こんなガラクタを買って宇宙旅行事業を起こすってなんかうさんくさいって今になって思ってもしょうがないのだが。
ガラクタを買って経費で落として実は購入金額の大半は海外にホリエモン自身の口座に還流される。そんな構造で海外に不正に資金を流して蓄財しているとしたら、とてもじゃないが「納税の義務」違反で国会議員に立候補することも、それを支援することも反国民的行為で、現在のボヤァとした道義に反する行為から数段ランクアップして国民に対しての背任で完全に憲法にも違反する行為となる。
 海外への資金流出の外為法違反が東京地検特捜部の描くターゲットなのか。この場合、小泉内閣は大きく揺らぐだろう。これを巧く攻め口として民主党が戦術を行使すればって付帯事項が付くが。
証券取引法違反自体は「認識が無かった」って逃げの一手でもぜいせい3年以下の懲役もしくは罰金300万円。2004年の証券取引法の改正で不当な利益への課徴金制度も導入されているが、どこまでの範囲で「不当な利益」とするかは様々な意見があるところ。
しかし、例えば142億円の脱税であれば、こうは行かない。ほとんど満額(ま、経費は若干相殺されるだろうが)が所得と見なされ重加算税も加わればまるごと納税対象になる。 東京地検特捜部が動いて例えは悪いが300万円の罰金だけでは「効率が悪い」。今後の捜査の方向と言うか、最初から東京地検特捜部は4000万株の売却と142億円を手にしての「アルマズカプセルによる宇宙事業」に胡散臭さを感じ、加えて必要も感じられないガルフストリーム購入で「裏がある」と読んだのではないだろうか。
その呼び水が「証券取引法違反」であって、本丸はやはり海外への資産流出と脱税にあるのではないか。その意味で、旧ライブドア経営陣の証券取引関係者を抑えているのは理にかなっている。
殺人事件での死体の始末と同様に、金融犯罪では得た金銭をどのようにさばくかが大きな知恵の働かせどころになる。痕跡のこさず金を蓄財するには壷に入れて埋めるか海外への持ち出し。前者は罪にならないが、後者は外為法違反になる。また、両方とも所得税法違反にはなる。

民主党の自民党の攻め方
 責任だ、責任だって叫んでいるだけで無くて、責任のとり方を導いてやれば良い。北海道出身の議員なので言いづらいのだが武部幹事長の引責辞任くらいの首をとらなくては民主党も情けないぞと国民に思われる。「あー、これでホリエモンが当選でもしてたらもっとやりやすいのに」なんて弱音をはいてる場合では無い。
選挙の責任者が誤った候補者を支援したのだから責任とって辞任するのは当然ってストーリーで攻める必要がある。なまじ小泉純一郎の責任論を展開してもまた小泉流の「反対勢力」って返り討ちにあう。なにも9月で任期が切れる小泉純一郎と刺し違えても民主党にメリットは無い。逆にホリエモンで小泉純一郎辞任なんてなったら、国民の同情票がますます自民党に流れる。民主党にとっては試合に勝って勝負に負けたってことになる。
 ここは「不適切な候補者を支援した幹事長の責任は重い」の一点突破だ。それが出来ないのが民主党の実力なのだが(と、諦めている国民は多いだろう)
東京地検特捜部の捜査の進捗によって事件が「ホリエモンの金脈と人脈」に広がったときに、先の衆議院選挙でのホリエモン出馬の真実も切り口になるかもしれない。自民党は党公認でも良いと条件を出したのにホリエモンは断って無所属で立候補した。自民党の支援はニュース映像でも流れてるように竹中平蔵氏、武部幹事長の現地入り応援演説。そもそも立候補表明は自民党議員会館だったのだ。
この件ではホリエモンは単に自民党政治に近づきたかったのか、それとも、「金で買えないものは無い」のだから何を買ったのか、この真実も東京地検特捜部が調査して公表することが民主党に有利に働くだろう。

政局になるだろうか
 結論を先に言ってしまうと政局にはならないだろう。今回の様々は事件をBLTサンドと称してるって話が昨日の鳩山由紀夫氏のメルマガにあったが、ベーコン、レタス、トマトのサンドイッチをそう呼ぶらしい。
 そして政治の世界ではB(BSE)、L(ライブドア)、T(耐震構造偽装)と置き換えて「国会で厳しく追及する課題だ」とかのメルマガでは述べている。ま、それを聞いて「やれやれな奴」と思った鳩山由紀夫メルマガ読者は多いだろう。
 BLTも行政の問題なのだ。国会の問題は行政を叩くことでは無い。立法を通して行政の過ちを繰り返さないようにすることが国会議員の職務だ。それを履き違えてる。
行政を叩けば自民党が弱体化するって考え方を民主党の戦略としてもっているのならそれはまったく国民不在の政治でしか無い。そもそも民主党が政権政党になれないのは行政を意識した活動が不在で行政批判こそが野党の仕事みたいに勘違いしてるところにある。
 国会の場では正面切って政党と政党の政策の戦いをしなければならないのに、敵失頼みの行政批判ではとても政局にはならない。
自民党の敵失を行政府のトップである首相に向けるから、いつまでたっても政権がとれない。戦略を変えたらよいのだ。「小泉首相を退陣に追い込む」ではなくて「自民党をぶっつぶす」に。
 逆に自民党は東京地検特捜部の捜査に圧力をかけてくるだろう。証券法違反だけで終焉させたいのだから。ただ、2005年4月の東京地検特捜部長の就任記者会見で「額に汗して働く人、リストラされ働けない人、違反すればもうかると分かっていても法律を遵守している企業の人たちが、憤慨するような事案を万難を排しても摘発したい」と語っているので、あぶく銭を扱うやつは「戒め」のために逮捕するってことなら東京地検特捜部も随分な税金の無駄遣いに終わると思うのだが。

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