HIT-SAT(ヒット・サット)宇宙へ

OhmyNews(2009年4月30日閉鎖)掲載の記事です
知られざる「ひので」の打ち上げ余話
9月23日6:36に太陽観測衛星「SOLAR-B」が鹿児島県内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられた。打ち上げ成功確認後「ひので」と名づけられた。
太陽表面の温度は6000度にも係わらず、太陽を取り囲む大気であるフレアの温度が百万度にも達する、太陽の謎で知られる「コロナ加熱問題」の解明が期待されている。
実は、ニュースの扱いは皆無に等しいが、この「ひので」打ち上げ時にカウンターウェイト(全体のバランスをとる「錘(おもり)」)として搭載された12cmの正方形で重量2.7kgの小さな人工衛星も宇宙空間への放出に成功している。
この小さな人工衛星はHIT-SAT(ヒット・サット)と名づけられた北海道の産学を中心にした 北海道キューブサット開発チームが製作し運用実験を始めた大学を中心にした人工衛星である。
産学ベースの人工衛星打ち上げチャレンジは下記の歴史がある。
東大
cube-sat W 2003.06.30 ロシアのプレセツク宇宙基地
cube-sat X 2005.10.27 ロシアのプレセツク宇宙基地

東工大
CUTE-I   2003.6.30 ロシアのプレセツク宇宙基地(東大と同時)
Cute-1.7+APD 2006.2.22 M5ロケット8号機、鹿児島・内之浦
これに続いて3大学目5個目の大学人工衛星になった。
日大(キューブサット・プロジェクト)が挑戦した人工衛星は2006.07.27バイコヌール宇宙基地での打ち上げでロケットの故障による打ち上げ失敗に巻き込まれたのでHIT-SATは人工衛星打ち上げのチャレンジとしては4大学目になる。
この人工衛星の費用はどれほどだと思いますか。
民生品を主体に使い人件費を除く、いわゆる原材料費300万円。打ち上げ費用は錘(おもり)なので只。国産車高級セダンクラスの価格で人工衛星が宇宙を舞う。
今回のHIT-SATは将来地球観測衛星として正しくカメラを地球に向ける姿勢制御を主な課題にしている。これが可能になると宇宙から撮影した画像を基にリモートセンシング技術により農作物の生育状況、漁場の水温変化等の把握が行える。
また、制御にはアマチュア無線の周波数帯を利用してるため、全国各地でHIT-SATからの無線が受信出来る。
CWの電波は437.275MHz、FMパケットの電波は437.425MHzで衛星が北海道上空を通過する時刻に合わせて送信される。アップリンク(地上基地局から衛星への指令電波)の周波数は妨害等を考慮して公表されていない。
アマチュア無線機を押入れから引き出して300万円の電波受信に挑戦してはいかがか。
日々の情報は下記のURLで参照できる。
http://www.hit.ac.jp/~satori/hitsat/

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