北教組の政治活動にメスが入るのは与党ゆえ

「北教組」の用語は珍しいのか
 北海道に住んでいると北教組(北海道教職員組合)は日常目にする用語なのだが全国区の新聞等では「北海道教職員組合(北教組)」と表記されている例が多い。10年ほど前に北海道拓殖銀行が経営破綻して営業権を北洋銀行に譲渡した時も北海道では「拓銀」が略称なのだが全国区では「北拓」の表記で違和感があった。
 そもそも「ほっきょうそ」ではATOKが変換しないのを今知った。早速辞書登録をしたが。
 北海道で炭坑が一大産業であった時代には炭坑の労働組合や旧国鉄が旧社会党を支えていたのが北海道の政治勢力であった。産業構造の変化とともに旧社会党は縮小し民主党が北海道での政治勢力を握っている。これを支えるのが旧社会党からスライドした小中学校の教員で組織される北教組(北海道教職員組合)だ。
 北教組(北海道教職員組合)は主任制度への反発から教務主任や学年主任に支給されている1日200円の主任手当を長年組合預かりにしている。教育委員会に突き返すってパフォーマンスを行ったりした。が、振込を北教組(北海道教職員組合)に返す度に13万円もかかっていたので、馬鹿なことは辞めろと最近はパフォーマンスは行っていない。しかし、主任手当は毎年1億円ほど積み上がる。その累積総額は55億円と言われているが、この預かり金の利息の使い道は組合員すら知らない。
 もちろん、原資は国民の税金である。
 この闇の資金がどのように使われていたのかが白日の下になるだろうが、実は政権交代が無ければ何時までも闇の中で回り続けていただろう。皮肉な事に政権交代が起きた故の今回の事件の発覚とも言える。小林千代美衆院議員は文教族の町村信孝氏の対立候補であった故に捜査の手が伸びた面もいなめない。
が、基本的に自民党的な政治と金の問題を民主党的な政治と金の問題に置き換えただけで、政治に不明朗な金の流れがあるのは今に始まったことでは無い。それも、国民の税金から拠出された主任手当の資金運用で北教組(北海道教職員組合)が私腹を肥やしている実態には国民の関心も高まるだろう。加えて北海道では選挙に教職員がいかに重く係わっているかも白日の下にさらけ出されるだろう。

組織の緊張感は長続きしない
 北教組(北海道教職員組合)の組織力は全国でも屈指のものだった。北海道の教職員約1万9000人で組織され、組織率は落ちたとは言え34.2%(2009年10月現在)ある。管理職を除いた教員の8割程度が属すると言われている。
 その活動は過激で一般人が頭を傾ける奇策も多い。
 1)滝川いじめ自殺への非協力。
 滝川の小学校でのいじめ自殺の実態調査を北海道教育委員会が2006年12月に行ったが、北教組(北海道教職員組合)の執行部が調査に協力しないように指導。
 2)学校へのAED導入に反対。
 時々発火するので(事例は無し)危ないそうだ。
 3)機関誌「北教」で竹島問題は韓国が正しいと啓蒙。
 竹島は島根県の主張が間違いで韓国の領有(不当占拠)は正しいと表明。
 4)四六協定破棄問題
 1971年に北教組(北海道教職員組合)と道教委の間で締結された労使協定の内容が教職員に有利で一部違法であった。2001年に違法部分を道教委が破棄し北教組(北海道教職員組合)はストライキで対抗、2008年には道教委が完全破棄を通告。
 とまぁ、色々ご活躍なのだが、今回の事件は小林千代美衆院議員を取り巻く選挙違反事件に留まらず、北教組(北海道教職員組合)の闇の部分を国民に知らしめる機会となるだろう。特にこのあたりの報道には産経新聞が熱心だが、地元の北海道新聞は旗幟を鮮明にしていない。
 「二十四の瞳」を参考にするまでも無く地方においては教職員の地位は高い。これは権威だったのだが、昨今は残念ながら権威は無くなっている。たぶん、学生運動華やかな頃に警察、自衛隊等を敵対視した運動がボタンの掛け違えの始まりで、現在は教職員の権威はモンスター・ペアレンツが現れるように失墜している。上記の4項目でも「香ばしい」雰囲気を醸し出してるのだが、もはや組織としての緊張感が無くなっているのだろう。最後は子どもを盾に籠城するしか道は残されてないようだ。

教育を闇のまま放置したツケ
 責任感が無いと思われるのが上記の「四六協定問題」だ。教育の現場を人質にして迫られた道教委も腰抜けだが、一面無責任とも言える。国民から任せられた教育の現場を管理する能力が欠けている。この制度が40年近くも継続されて来た無責任さは現場放棄に近い。
 今回の小林千代美衆院議員選挙違反事件は先の鳩山由紀夫総理の子ども手当、小沢一郎幹事長の疑惑の4億円原資問題と合わせて切り口は選挙違反事件だが、北教組(北海道教職員組合)の闇を解明する方向に向かってもらいたい。
 国民の知る権利は政治家個人の説明責任にのみ頼るのでは無く、マスメディアや検察が担う大きな責務だろう。政治家個人が説明しないのなら調べて報道するのがジャーナリズムだ。説明しろ説明しろと騒ぎ立てるだけではジャーナリズム自身が自己否定しているようなものだ。
 北教組(北海道教職員組合)は広島、大分とともに「H2O」と呼ばれている(hokkaido、hiroshima、oita)活動の激しさで定評がある。旧社会党と同じで「なんでも反対」って姿勢が強い。理不尽な反対運動は既に書いた。
 教職員の歴史観や国家観は一般常識と違った感覚を持つ者が多く、北海道で受けた教育が変なのは他の地方に行って解ることが多い。ま、このあたりミノさんが県民SHOWでやってくれないかなぁ。
 結局、北海道は教育の現場が放置されて来た歴史を持つ。その責任はもちろん北海道民にあるのだが、今回の事件は氷山の一角だろう。
 教育現場が正常に戻るには長い年月が必要だろうが、まずは現在の教職員の組合に対する謀反が先行すべきだろう。教育の現場に権威を取り戻すには個々の北教組(北海道教職員組合)組合員がまず、第一歩を始めなければいけない。

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2010.03.02 Mint