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介護保険設計は「北海道」から(1)
1992年だったと記憶しているが北海道庁に「厚生省(当時)」から北海道保健環境部成人保健課長(当時)に「山崎史郎」氏が赴任してきた。当時、当社の株主に「医薬品卸(後に全国規模の医薬品卸会社と合併したが)の営業部門が「厚生省とのパイプを作るチャンス」と当社の株主以外も含めて各医薬品卸社が「接待攻勢」をしているのは「噂話」で入ってきていた。
一般的に「中央官庁」から地方自治体(都道府県)への「出向」は2種類の目的があって、 1)将来に向けての「人脈の形成」か 2)プロジェクト活動の「試行」だった。 先に書いたように「パソコン通信の「北風倶楽部」」の調査がひと段落して、開発局の「農業近代化の方策(これは、産地直送がメイン(今ではあたりまえだが、当時の開発局が「農協」に配慮して報告書の修正を迫られた)」なんて調査業務を受けていたのだった。 山崎史郎氏は「老人病院の薬漬け医療」を改革しないと高齢化社会を乗りきれないとの使命感を持っており、北海道庁に赴任してから、どんな調査をすれば「全国展開にまで結びつくのだ」と北海道庁の「マーケットリサーチ」の調査状況を調べていたらしい。 この事業は当社の関連会社の「シンクタンク」が受注するのだがコンピュータによる「データ処理」が必要な調査業務だった。 突然に「山崎史郎」氏から私に直接電話が入った。 「調査を委託しようとしている財団法人から「データ解析企業として貴社が提案されたのだけれど、どれ程実績ありますか? 今回の調査ではアメリカのMDS方式を調査するんだけど「北海道でMDSが使っている「「SAS」(統計分析システム)を使っている会社は「皆無」なんだなぁ。何か実績あります?」って電話だった。 「実績ですかぁ? 札医大の「症例分析」をサポートしてますが、主に「マーケット・リサーチ」ですね。現場のデータが入手できれば使っています」 「そなんかぁ」で電話が切れた。 |
「介護保険制度の発祥」は北海道(2)
「山崎史郎氏」は「現場主義の役人」の典型と感じたのは、この時かなぁ。「自分で確かめないと「納得しない」」って手法は「個性」なのだろうなぁ。
私は「電話を切ってから」関連団体のシンクタンクの担当者に電話した。 「あのよぅ、こっちの名前出すなら「事前に連絡」くれよ。さっき「北海道庁の「山崎史郎ですが」って電話来たぞ」と言った。 「「計画書を「案として」出してくれ」と言われたので、あくまで「内部資料」として提出したんだが「凸電」かぁ。役人らしくないなぁ、私も詳細は解ってないのですが「現場調査をしてデータを収取して「分析」して「制度設計に結びつける」ってのが調査事業の趣旨らしいです。」 受注予定(営業中事案)業者が「詳細が解らない」って「なんだよぉ」と思いながら「この仕事は避けた方が良いかな」と思っていた。 と言うのは「エース級の役人は個性が強い」って経験が何度もあったし(私は全然気にしないのだが)、その「上司」とのトラブルの「おはちが私に降りかかる」ことが多々あった。 窓口の担当者の「上司だから」って「指揮命令系統」を無視する「役人」って居るんだよなぁ。 そんな事があって、数日後に当時の社長に呼ばれて「この仕事を受けろ」とだけ言われた。 「どんな調査事業なんですか?」と聞いたら「俺も良く知らん。ただ、北海道庁に厚生省(当時)から調査費が出ている。そのルートで失敗したくない北海道庁が「全面的にバックアップする」と言ってきた。検討委員会のメンバーに俺も選定された。やらない理由は無いだろう」 『あ、山崎史郎氏は凸電の感覚後に「外堀を埋めてきたんだ」と感じた』 「じゃぁ「事務方」で一括受注の関連会社の「下請けに」入りますかぁ」と言ったら「北海道庁では旗振りはできないので「一括発注」になるから、その方式だな」 そんな、やり取りがあって「首を突っ込む」ことになる。 |
「介護保険制度の発祥」は北海道(3)
第一回目の「事務方の会議」が行われて、調査事業の「詳細」を「山崎史郎氏」から説明を受けた。
当時の「高齢者医療」は健康保険制度の配下だったが、その結果、各医療機関( 特に「老人医療機関」は「入院費用、食事費用(当時、今は自己負担)、投薬費用に収益」を保険機関に求める制度だった。 特に「無制限」だったのは「投薬費用」の健康保険(国保が主だが)からの支出だった。入院した高齢者に必要の有無以前に「投薬」すると利益が得られる。特に「栄養補給の点滴」はどの老人病院でも「日常化」していた。 当時の「大規模老人病院(病床数100以上)」は高齢者が亡くなる時に平均50万円以上(健康保険からの支出を含む)の「投薬」が行なわれていた。 「山崎史郎氏」の考え方は「高齢化社会を迎える日本で現在の「医療保険制度ではもたない。新しい制度設計が必要だと思う。で、何故、私が北海道庁に赴任したかと言うと、問題意識の高い「大規模老人病院」が札幌市に集中している。しかも、その病院の院長や理事長は「今のままでは駄目だろう」って声も多く、札幌が最適かと思った」。だから、ここで「制度設計」を始める調査を開始したいと思って事務局を立ち上げた。具体的にはオフレコだが「介護保険制度」って制度設計の基礎データを得たい」 「この調査の名称は「MDS研究会」なのだが、これはアメリカで「高齢者の介護保険からの支払いの必要度を数値化して介護施設への各洲からの補助金を決めるって仕組みなんだけど、これを北海道で実証実験してみたい。 幸い、札幌市には「西丸山病院」とか「恵仁会」とか複数の今「老人病院と呼ばれている院長や理事長」も検討委員会に参加してもらうことになったので、調査対象の病院の入院患者は2000名くらいになる。そのアセスメント(アメリカで利用されている「調査票」)のデータを収集して「介護保険制度の構築時の強弱を測る」って仕組みが構築可能なのかをアウトプットしたい」と述べられた。 実はアメリカのMDSによる老人介護の負担割合の分析手法は会議の前に調べていた(英文の「MDS」で検索が可能だった)が、かなり「人種差別の解消」ってアメリカ独特のアセスメント(調査用紙の設問)だった。 実は「MDS研究」は後に解るのだけれど、これもまた、アメリカでの「実証実験」で「制度化」されてないのだが、この研究会が立ち上がると「横から「研究費欲しさ」で文字通り「介護保険制度の構築に横槍」を入れてくる「先生たち」とお付き合いすることになる。 |